2024年6月20日
労務・人事ニュース
マンション修繕積立金の新ガイドライン発表、段階増額方式で適切な引上げを実現
「長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」及び 「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」の改定について~「段階増額積立方式における適切な引上げの考え方」~(国交省)
令和6年6月7日、住宅局参事官(マンション・賃貸住宅担当)から「長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」と「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」の改定が発表されました。改定の主な目的は、適切な修繕積立金の確保を図ることであり、特に「段階増額積立方式における適切な引上げの考え方」を反映させることに重点が置かれています。
背景として、マンションの長寿命化を実現するためには、安定した修繕積立金の確保が必要不可欠です。修繕積立金の積立方式には、均等積立方式と段階増額積立方式の二つがあります。均等積立方式は計画期間中の積立額を一定に保つもので、将来的に安定した修繕積立金を確保するために望ましいとされています。一方、段階増額積立方式では計画開始当初の積立額を低く抑え、徐々に増額していく方法を取りますが、この方式を採用するマンションでは、計画期間中に修繕積立金の水準が大幅に上昇し、予定通りに引き上げられないことが多く、修繕積立金の不足が懸念されていました。
こうした問題に対処するため、国土交通省は「今後のマンション政策のあり方に関する検討会」を設置し、その結果を受けて「標準管理規約の見直し及び管理計画認定制度のあり方に関するワーキンググループ」(WG)を組織し、適切な修繕積立金の確保について議論を重ねてきました。今回の改定では、WGが公表した「段階増額積立方式における適切な引上げの考え方」をガイドラインに反映させることとなりました。
具体的には、段階増額積立方式における月あたりの徴収金額を均等積立方式の月あたりの金額を基準として、計画初期額を基準額の0.6倍以上、計画最終額を基準額の1.1倍以内とすることが定められました。これにより、段階的に修繕積立金を引き上げ、最終的には均等積立方式に誘導することが目指されています。
また、ガイドラインの改定後の詳細については、国土交通省のホームページで公開される予定です。これにより、関係者が適切な修繕積立金の引き上げ方法を理解し、実施することが促進されます。
この改定により、マンションの修繕積立金の確保がより一層進み、適時適切な大規模修繕工事が実現されることが期待されます。マンション管理組合や区分所有者、管理業者、マンション管理士、地方公共団体など、関係者は新たなガイドラインに基づき、修繕積立金の確保に向けた適切な対策を講じることが求められます。
これにより、マンションの長寿命化と居住者の安心・安全な暮らしが一層向上することが期待されます。興味のある関係者は、国土交通省のホームページを確認し、改定後のガイドラインを参考にして適切な修繕積立金の確保に努めてください。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ