2025年1月13日
労務・人事ニュース
一級建築士試験2024年合格率26.6%!業界期待の3,010名が誕生
令和6年一級建築士試験「設計製図の試験」の合格者を決定 ~3,010人の合格者、26.6%の合格率~(国交省)
令和6年12月25日、国土交通省住宅局建築指導課は、一級建築士試験の「設計製図の試験」の合格者を発表しました。今年の試験では、3,010名が合格し、合格率は26.6%でした。この試験は全国53会場で実施され、受験者数は11,306名にのぼりました。一級建築士試験全体での総合合格率は8.8%とされ、非常に厳しい基準が維持されています。
試験を実施しているのは、公益財団法人建築技術教育普及センターで、建築士法に基づき国土交通大臣から指定を受けた機関です。合格者には通知が送付され、不合格者にも成績通知が行われます。また、試験の詳細や合格者の一覧は同センターの公式ウェブサイトで公開されています。
試験内容は、「学科の試験」と「設計製図の試験」に分かれており、それぞれ異なる日に実施されます。今年は学科試験が令和6年7月28日に行われ、その後、10月13日に設計製図試験が実施されました。学科試験の合格者数は6,531人で、合格率は23.3%でした。一方、設計製図試験では厳格な採点基準が設けられており、主に建築物の設計に関する知識と技能が評価されます。
「設計製図の試験」の合格基準には、建築物の配置計画やゾーニング、動線設計、さらにはユニバーサルデザインや防災対策に基づいた設計が含まれます。評価はランクIからIVまでの4段階で区分され、ランクIに分類されたものが合格となります。今年の受験者のうち、ランクIは26.6%にとどまり、多くの受験者が設計条件の不備や法令の適合性不足によって不合格となっています。
過去5年間の試験結果を振り返ると、「設計製図の試験」の合格率は一貫して30%台を維持していましたが、今年は26.6%とやや低下しました。この結果は、試験内容の難易度がさらに高まったことを示唆しています。
合格者の属性を見ると、大学出身者が全体の74.6%を占め、次いで二級建築士資格を有する受験者が15.8%でした。職域別では、建設業が37.5%で最も多く、建築士事務所が26.9%、住宅メーカーが14.1%と続きます。また、年齢層は24~26歳が最も多く33.9%を占め、平均年齢は29歳でした。性別では男性が69.3%、女性が30.7%となっています。
このように、一級建築士試験は日本の建築業界で重要な位置を占める試験であり、合格することで建築士としてのキャリアが大きく広がります。一方で、受験者数が毎年増加している中で、試験の合格率が低く抑えられていることから、資格取得の難易度は高い水準を維持しています。
今回の発表においても、合格者は高い専門知識と実践的な技能を有することが求められました。特に設計製図試験では、空間構成や建築計画、構造計画、設備計画のすべてにおいて詳細な知識が必要です。これに加えて、法令への適合性や設計条件の厳守も重要な要素です。これらの点をクリアすることが、合格への鍵となっています。
一級建築士試験の合格者発表は、受験者だけでなく企業の採用担当者にとっても注目されています。特に建築士事務所や建設業界では、合格者を積極的に採用し、即戦力として活躍させることが期待されています。また、住宅メーカーや官公庁などでも、建築士資格を持つ人材への需要が高まっており、今回の結果は業界全体に大きな影響を及ぼします。
合格者は今後、一級建築士として建築物の設計や監理に携わることができます。この資格は、建築物の安全性や快適性を確保するために欠かせないものであり、社会的な責任も大きいです。そのため、合格者には高度な専門知識と倫理観が求められます。
また、令和7年の試験に向けて、さらなる改訂が予定されています。具体的には、脱炭素社会の実現を目指したエネルギー性能向上に関する法令が適用される予定です。このように、建築士試験は時代のニーズに応じて内容が更新されており、建築業界における重要な指標となっています。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ