2024年5月31日
労務・人事ニュース
一般職業紹介状況 有効求人倍率1.26倍 前月に比べて0.02ポイント低下 令和6年(2024年)4月を公開(厚労省)
一般職業紹介状況(令和6年4月分)について(厚労省)
令和6年4月の有効求人倍率は1.26倍となり、前月から0.02ポイント低下しました。新規求人倍率も2.17倍となり、前月に比べ0.21ポイント減少しました。これらのデータは、厚生労働省が毎月発表しているもので、公共職業安定所(ハローワーク)の求人、求職、就職の状況を反映しています。
4月の有効求人倍率(季節調整値)は1.26倍となり、前月を0.02ポイント下回りました。この結果は、求人数が減少していることを示しています。一方で、新規求人倍率は2.17倍と、前月より0.21ポイント低下しており、新しい求人の提供が減少していることを意味します。
正社員に限定した有効求人倍率(季節調整値)は1.02倍となり、前月より0.01ポイント減少しました。これは、正社員の求人が減少していることを示しています。4月の有効求人(季節調整値)は前月に比べ1.3%減少し、有効求職者(同)は0.3%減少しました。また、新規求人(原数値)は前年同月と比較して2.3%減少しました。これらのデータは、求人の提供が減少している一方で、求職者の数も減少していることを示しています。
産業別に見ると、生活関連サービス業と娯楽業は3.4%増加し、医療と福祉は1.4%増加、情報通信業も0.4%増加しました。一方で、製造業は7.8%減少し、教育と学習支援業は7.4%減少、宿泊業と飲食サービス業は6.3%減少しました。このように、産業によって求人の動向に違いが見られます。
都道府県別に見ると、就業地別の有効求人倍率(季節調整値)は福井県が最高で1.94倍、大阪府が最低で1.05倍となりました。また、受理地別では福井県が最高で1.78倍、神奈川県が最低で0.92倍となっています。地域ごとに求人倍率に大きな差が見られることがわかります。
令和5年12月以前の数値は、令和6年1月分公表時に新季節指数により改定されています。正社員有効求人倍率は、正社員の月間有効求人数をパートタイムを除く常用の月間有効求職者数で割って算出されますが、派遣労働者や契約社員を希望する者も含まれているため、厳密な意味での正社員有効求人倍率より低い値となります。また、産業別新規求人の前年同月比は、日本標準産業分類に基づいています。
ハローワークインターネットサービスの機能拡充に伴い、令和3年9月以降の数値には、オンライン上で求職登録した求職者数や、インターネットサービスの求人に直接応募した就職件数などが含まれています。これにより、求人と求職の状況に対する統計の精度が向上しています。
以上のように、令和6年4月の一般職業紹介状況は、求人倍率や新規求人倍率の低下、産業ごとの求人動向の違い、地域ごとの求人倍率の差など、多岐にわたるデータを示しています。これらのデータは、労働市場の現状を理解する上で重要な指標となっています。
有効求人倍率低下が示す日本の労働市場の現状と今後の課題
令和6年4月の一般職業紹介状況は、日本の労働市場に多方面で影響を及ぼしています。以下にその影響を詳述します。
まず、有効求人倍率が1.26倍に低下したことは、求人数が減少している一方で、求職者の数も減少していることを示しています。これにより、求人を行う企業側にとっては、必要な人材を確保するのが難しくなり、特定のスキルや経験を持つ人材の競争が激化する可能性があります。一方で、求職者にとっては、選べる職の選択肢が減少し、より厳しい競争に直面することが予想されます。
新規求人倍率が2.17倍に低下したことは、新しい求人の提供が減少していることを示しています。これにより、新規参入者や転職を考えている人々にとっては、新しい雇用機会が減少し、求職活動が一層厳しくなる可能性があります。特に、新卒者や転職希望者にとっては、就職活動の難易度が上がることで、心理的な負担が増すことが考えられます。
正社員有効求人倍率が1.02倍に低下したことは、正社員の求人が減少していることを示しています。これにより、企業は正社員の採用を控え、派遣社員や契約社員といった非正規雇用に依存する傾向が強まる可能性があります。これにより、労働市場全体での雇用の質の低下が懸念されます。非正規雇用が増えることで、労働者の収入の安定性やキャリアの成長機会が制限されることになります。
産業別の求人動向を見ると、生活関連サービス業や娯楽業、医療、福祉、情報通信業などでは求人が増加していますが、製造業や教育、宿泊業、飲食サービス業では求人が減少しています。これは、各産業における景気動向や需要の変動が求人に直接影響を与えていることを示しています。製造業や宿泊業、飲食サービス業の求人減少は、これらの業界での雇用機会の減少を意味し、地域経済にも影響を与える可能性があります。
都道府県別の有効求人倍率の差異は、地域ごとの経済状況や産業構造の違いを反映しています。福井県が1.94倍と高い一方で、大阪府が1.05倍と低いことは、地域間での雇用機会の格差を示しています。これにより、地方から都市部への人口移動や、地域間の経済格差がさらに広がる可能性があります。企業側としては、地域ごとの求人戦略を見直す必要があるかもしれません。
ハローワークインターネットサービスの機能拡充により、オンライン求職の増加が見られます。これにより、求職者が地域を超えて仕事を探すことが容易になり、リモートワークやテレワークの普及が促進されることが期待されます。しかし、一方で、オンライン求人に依存することで、地方の求職者が地域の求人情報にアクセスしづらくなる可能性もあります。
以上のように、令和6年4月の一般職業紹介状況は、日本の労働市場に多岐にわたる影響を与えています。求職者と企業の双方が、この変動に対応するために、新しい雇用戦略や求職活動の方法を模索する必要があります。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ