2024年9月3日
労務・人事ニュース
三重県 200時間超の時間外労働も発覚!企業の労務管理に迫られる変革
長時間労働が疑われる事業場に対する令和5年度の監督指導結果を公表します(三重労働局)
令和5年4月から令和6年3月までの期間において、三重県内の事業場に対して実施された監督指導の結果が示されています。この報告書は、長時間労働や労働基準法の違反、特に時間外労働に関する問題点について、県内の企業の規模や業種ごとに詳述されています。
まず、三重県内では459の事業場に対して監督指導が実施され、そのうち358の事業場、つまり全体の78%で労働基準法に関連する法令違反が見つかりました。主な違反としては、違法な時間外労働が206事業場で確認され、賃金不払残業が41事業場、そして過重労働による健康障害防止措置が未実施であった事業場が93存在しました。これらの結果から、三重県内の多くの企業が依然として労働時間管理に関して問題を抱えていることがわかります。
特に注目すべき点は、長時間労働の実態です。監督指導が行われた206事業場のうち、時間外・休日労働が最長の者の実績を確認したところ、109事業場で1ヶ月当たりの時間外・休日労働が80時間を超えていました。さらに、65事業場では100時間を超え、13事業場では150時間を超える労働が確認され、最も深刻な1事業場では200時間を超えるケースもありました。このような極端な長時間労働は、労働者の健康に深刻な影響を及ぼすリスクが高く、企業にとっても法的なリスクが増大する要因となります。
また、労働時間の管理方法についても言及されています。監督指導の結果、使用者が自ら労働時間を現認することによって管理している事業場が33、タイムカードによる管理が214、ICカードやIDカードを利用している事業場が107、PCの使用時間記録を基礎にしている事業場が28、そして自己申告制を採用している事業場が88ありました。これらの方法の中でも、自己申告制を採用している事業場では、労働時間と実際の業務に従事している時間との間に乖離が生じるリスクが指摘されています。
さらに、過重労働による健康障害防止のための指導も行われています。224の事業場に対して、長時間労働を行った労働者に対して医師による面接指導などの措置を講じるよう指導が行われました。これにより、労働者の健康を守るための具体的な対策が求められており、企業はその実施に責任を持つ必要があります。
今回の報告書は、三重県内の企業が直面する労働時間管理の課題や、法令違反のリスクを明確に示しています。労働基準法を遵守し、適正な労働時間管理を行うことは、労働者の健康と安全を守るだけでなく、企業の持続可能な経営にも不可欠です。今後、三重県内の企業は労働時間の管理体制を強化し、法令に則った適切な対応を行うことが求められます。特に、長時間労働の抑制や、労働者の健康管理のための具体的な対策を講じることが急務です。
また、報告書内で指摘されているように、労働時間の適正な把握と管理を行うためには、タイムカードやICカードの利用だけでなく、使用者が自ら労働時間を確認する方法の強化も重要です。これにより、労働者の労働時間の実態を正確に把握し、適切な労働条件を提供することが可能になります。
以上のような現状を踏まえ、三重県内の企業は法令遵守の観点からも、労働時間の管理に対する取り組みを強化する必要があります。特に、長時間労働による健康障害の防止や、適正な賃金支払いの実施は、企業の社会的責任として不可欠な要素です。三重県内の企業の経営者や人事担当者は、この報告書の内容を踏まえ、労働環境の改善に努めるべきです。
⇒ 詳しくは三重労働局のWEBサイトへ