2024年9月16日
労務・人事ニュース
令和5年度ギャンブル依存症調査報告:全国で依存が疑われる割合1.7%、40代男性が最多
令和5年度「ギャンブル障害及びギャンブル関連問題実態調査」の報告書(速報)を公表します(厚労省)
ギャンブル依存症に関する令和5年度の実態調査では、国民のギャンブル行動やギャンブル依存症の関連問題についての詳細なデータが示されています。この調査は、全国の市町村に居住する18歳以上75歳未満の成人を対象に行われ、約1万8千人を対象に調査票が送付されました。その結果、約51.6%の回収率で8,898件の有効回答が得られています。調査の目的は、一般住民におけるギャンブル経験やギャンブル依存が疑われる者の割合の推計を明らかにすることです。
この調査では、ギャンブル依存が疑われる者の割合がPGSI(Problem Gambling Severity Index)スコアを基に推定されており、8点以上の者を「ギャンブル依存が疑われる者」としています。調査結果によると、全体で1.7%の回答者がPGSIスコア8点以上に該当し、男性では2.8%、女性では0.5%となっています。特に、40代の男性が最も高い割合を示し、次いで30代の男性が多いことがわかりました。
ギャンブル行動についての具体的なデータも示されており、過去1年間におけるギャンブル経験者のうち、最もお金を使ったギャンブルの種類は男性ではパチンコが43.4%と最も多く、次いでパチスロ、競馬の順でした。女性ではパチンコが60.9%と圧倒的に多く、次いでパチスロ、その他(主にゲーム課金など)が続いています。また、ギャンブルに使った金額の中央値は、過去1年間で6万円と報告されています。
さらに、インターネットを利用したギャンブル行動の増加も顕著で、特に新型コロナウイルス感染拡大前と比較して、インターネットを利用したギャンブル行動が増加したと回答した割合が高くなっています。PGSIスコアが8点未満の者では3.6%がインターネットギャンブルの利用が増えたと回答したのに対し、8点以上の者では19.9%が増加を報告しています。このことは、ギャンブル依存が疑われる人々がオンラインギャンブルにより依存しやすくなっていることを示唆しています。
ギャンブル依存症対策についての認知度も調査されており、PGSIスコア8点以上の者のうち、29.6%が「パチンコ・パチスロの入店制限」を知っていると回答しています。しかし、「競馬・競輪・競艇・オートレースのネット投票の購入上限設定」や「金融機関からの貸付制限」についての認知度は、それぞれ16.3%および19.3%にとどまっており、対策の認知が十分ではない現状が浮き彫りになっています。
公的な相談機関を利用した人々に対する調査も行われており、その結果から、ギャンブル依存症の問題に直面した当事者が相談機関を利用するまでに平均2.9年かかっていることがわかりました。また、家族の回答によると、家族が問題に気づいてから相談機関を利用するまでの期間は平均3.5年で、依存の深刻化までに長い時間がかかっている現状が明らかになりました。
この調査結果は、ギャンブル依存症の実態を明らかにし、今後の対策を講じるための重要なデータとなります。特に、インターネットを介したギャンブル行動の増加や、相談機関利用までの長期化が課題として浮き彫りになっており、早期発見と介入のための対策強化が求められます。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ