2025年2月15日
労務・人事ニュース
令和6年10月の不動産市場動向 住宅価格は1.0%下落、商業用不動産は0.6%上昇
不動産価格指数(令和6年10月・令和6年第3四半期分)を公表 ~不動産価格指数、住宅は前月比1.0%下落、商業用は前期比0.6%上昇~(国交省)
国土交通省が発表した最新の不動産価格指数によると、令和6年10月における全国の住宅総合指数は前月比1.0%減の139.3となり、住宅価格の下落が続いていることが明らかになった。一方、商業用不動産の価格指数は前期比0.6%増の143.7となり、商業用不動産市場の安定した成長が続いていることが示された。
住宅市場においては、特に戸建住宅と住宅地の価格が大きく下落しており、戸建住宅は前月比1.6%減の116.1、住宅地は2.2%減の114.8と、価格調整の動きが鮮明となった。一方、マンション(区分所有)市場は206.9と、前月からほぼ変わらない水準を維持している。この動向は、住宅ローン金利の上昇や、物価高騰に伴う消費者の購買意欲の低下が影響していると考えられる。
商業用不動産市場では、オフィス価格が3.8%上昇し、181.2に達したことが注目される。これは、主要都市部でのオフィス需要が引き続き堅調であることを示している。また、店舗の価格指数も159.4と、前期比3.7%増加し、消費活動の回復が商業施設の価値向上につながっていることがうかがえる。一方で、マンション・アパート(一棟)の価格は1.7%増の167.2と緩やかな上昇にとどまり、投資家の慎重な姿勢が反映されている可能性がある。
地域別に見ると、住宅市場では全国的に価格が下落しているものの、一部地域では異なる動きも見られる。例えば、東京都の住宅総合指数は169.1と前月比1.9%増加し、特にマンション市場が堅調に推移している。また、愛知県と大阪府ではそれぞれ1.1%、0.8%の下落が見られた。
商業用不動産市場では、三大都市圏の価格上昇が顕著で、南関東圏ではオフィス価格が6.6%上昇し234.1に達するなど、首都圏を中心に商業施設の需要が拡大していることが分かる。これに対し、地方都市では一部価格の下落も見られ、商業用不動産の市場は二極化の傾向が続いている。
このような動向を受け、企業の不動産投資戦略にも変化が生じている。商業施設の価格が上昇する都市部では、不動産投資信託(REIT)や機関投資家の動きが活発化しており、特にオフィスや商業施設への投資が拡大している。一方で、住宅市場においては価格の下落傾向が続く中、買い時を見極める動きが強まっている。
今後の不動産市場の動向を占う上で、住宅市場の低迷がどこまで続くのか、また商業用不動産の成長が持続するのかが注目されるポイントとなる。住宅市場では、住宅ローン金利の動向や政府の住宅支援策が鍵を握る一方、商業用不動産では経済成長の持続性や消費者の購買意欲が市場の動向を左右すると見られている。
企業の採用担当者や不動産投資家にとっては、地域ごとの不動産価格動向を的確に把握し、適切な投資判断を下すことが求められる。特に、東京や大阪などの主要都市におけるオフィス・商業施設の価値上昇は、企業の拠点戦略にも影響を与える可能性があり、今後の市場動向を注視する必要があるだろう。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ