2024年12月10日
労務・人事ニュース
令和6年10月 北海道の有効求人倍率が0.97倍に低下、雇用情勢の課題と対策を解説
令和6年10月の「雇用失業情勢」について(北海道労働局)
令和6年10月における北海道労働局の報告書では、地域の雇用情勢が前年に比べて一部改善しつつも、依然として課題が残る状況が明らかにされました。有効求人倍率は前年同月比で減少し、0.97倍にとどまっています。これにより、求人需要と求職者の間にはミスマッチが生じていることが示されています。特に、正社員の有効求人倍率は前年と同水準の0.82倍にとどまり、雇用安定に向けた対策が引き続き必要であることが示唆されます。
新規求人数は30,292件で、前年同月比で5.1%減少しました。この数値は20か月連続で減少しており、特に製造業や情報通信業、医療・福祉分野で顕著な減少傾向が見られます。例えば、製造業では新規求人数が前年同月比で0.1%減少し、情報通信業では8.4%の減少が報告されています。一方で、建設業では5.0%増加しており、特に総合工事業が10.1%増加しています。この分野では雇用機会が増えている一方で、季節的要因や需要の変動が影響している可能性があります。
求職状況においては、新規求職申込件数が15,530件で、前年同月比で1.0%減少しました。また、月間有効求職者数は82,636人で2.0%の減少が見られました。求職者数の減少は、特に若年層や高齢者層において顕著であり、年齢別構成比では29歳以下が全体の約16.9%、60歳以上が約26.2%を占めています。このような年齢層の分布は、求職者と求人側の需要が一致しないミスマッチの要因となっています。
また、産業別の新規求人の割合では、宿泊業・飲食サービス業が前年同月比で14.4%減少し、観光産業の回復が依然として不十分であることが伺えます。一方で、運輸業・郵便業では旅客運送が2.8%増加し、地域経済の一部では需要が回復しつつあります。これらのデータは、産業ごとの課題と成長の兆しを明確に示しており、業界別の政策対応が求められています。
雇用保険被保険者数も減少しており、令和6年10月末時点で1,372,603人となりました。前年同月比で0.8%の減少が報告されており、資格取得者数と喪失者数のバランスにも課題が見られます。この減少傾向は、企業の採用活動が慎重化している一方で、求職者側でも就職活動に積極的でない層が増えている可能性を示唆しています。
これらのデータを総合すると、北海道内の雇用情勢は依然として持ち直しの兆しが見られるものの、季節的要因や物価上昇の影響が継続的な課題となっています。特に、若年層の雇用促進や高齢者層の雇用機会の拡大が、地域経済の安定に向けた重要な施策として求められています。また、各産業分野ごとの雇用改善に向けた支援策の強化が必要であり、公共部門と民間企業の連携が不可欠です。
⇒ 詳しくは北海道労働局のWEBサイトへ