2024年10月12日
労務・人事ニュース
令和6年8月 鹿児島県で有効求人倍率1.14倍に微増
令和6年8月の雇用失業情勢について(鹿児島労働局)
鹿児島県の最新の雇用情勢に関する情報を基に、労働市場の現状や支援制度について詳しく説明します。令和6年8月のデータをもとに、求人倍率や失業率の動向を詳述するとともに、企業が利用できる各種助成金制度や労働環境整備の取り組みについても触れます。
まず、鹿児島県の有効求人倍率についてですが、令和6年8月の有効求人倍率は1.14倍と報告され、前月から0.01ポイントの微増が見られました。全国平均の1.23倍と比較すると若干低めではあるものの、県内では依然として求人が求職を上回っている状況が続いています。有効求人数は38,420人で、対前月比1.4%減少しており、4か月連続で減少傾向が続いていることから、求人数に若干の減少傾向が見られます。一方、有効求職者数は33,670人で、前月から2.1%減少しており、3か月連続で減少傾向にあります。これにより、求人倍率の微増が確認されたものの、雇用市場全体としては停滞感が漂っています。
鹿児島県における新規求人の状況を見てみると、新規求人倍率は2.09倍で、前月から0.02ポイント増加していますが、新規求人数は前年同月比で18.0%減少しており、2か月ぶりの減少が確認されました。業種別に見ると、運輸・郵便業では9.5%の増加が見られたものの、建設業や製造業、卸売業・小売業、宿泊業・飲食サービス業、医療・福祉など主要産業においては減少傾向が続いています。特に製造業では24.9%の大幅な減少が確認されており、業界全体において人手不足が深刻な問題となっています。これに加え、医療・福祉分野においても13.7%の減少が見られ、特に高齢化社会が進行する中で、医療・福祉分野の人材不足が深刻化しています。
こうした状況を受けて、鹿児島県では企業の労働環境整備や人材確保を支援するために、複数の助成金制度を設けています。特に注目されるのが「キャリアアップ助成金」の社会保険適用時処遇改善コースです。この制度は、短時間労働者が年収の壁を意識せずに働くことができる環境を整えることを目的とし、昨年10月に新設されました。この助成金制度を活用することで、企業はパートタイムや短時間勤務の従業員に対する処遇改善を図り、働きやすい職場環境を整備することができます。
また、「両立支援等助成金」も、企業が育児や介護などの両立支援を行う際に利用できる制度として重要です。特に育児休業や短時間勤務の利用期間中の業務代替体制の整備を支援する「育休中等業務代替支援コース」が令和6年1月に新設されました。この新設コースを通じて、企業は育児休業や育児のための短時間勤務を利用する従業員に対する業務代替体制を強化し、従業員が安心して育児に専念できる環境を整えることが可能です。こうした制度は、従業員が仕事と育児を両立しやすい職場環境を整備する上で非常に有効であり、企業が長期的な人材確保を図るためにも積極的に活用することが推奨されています。
さらに、鹿児島県内では、長時間労働に対する監督指導も強化されています。令和5年度には、対象となった事業場の54.6%で違法な時間外労働が確認されており、是正指導が行われました。これにより、長時間労働の是正が進められ、働き方改革の一環として労働環境の改善が図られています。特に、働きすぎによる過労や健康被害を防ぐためには、適切な労働時間の管理が必要であり、企業は労働基準法を遵守しつつ、従業員の健康と安全を守るための取り組みを強化する必要があります。
鹿児島県では、これらの助成金制度や監督指導に加え、企業が積極的に子育て支援を行うことを奨励しています。例えば、「プラチナくるみんプラス認定企業」として、子育て支援に積極的に取り組む企業が認定されており、鹿児島県内初の認定企業として「株式会社 新日本科学」が選ばれました。この認定を受けることで、企業は子育て支援に積極的な企業としてのブランドイメージを向上させ、優秀な人材の確保にもつながります。
企業がこれからの時代に対応し、持続的な成長を遂げるためには、労働環境の整備と従業員の働きやすさを向上させることが不可欠です。鹿児島県内では、企業が利用できるさまざまな支援策が提供されており、特に人手不足や育児・介護の両立支援に焦点を当てた助成金制度は、今後さらに重要性を増すと考えられます。こうした制度を効果的に活用することで、企業は従業員の定着率を高め、長期的な経営安定を図ることが可能です。
⇒ 詳しくは鹿児島労働局のWEBサイトへ