2024年7月2日
労務・人事ニュース
価格交渉促進月間の成果:価格交渉割合59.4%、価格転嫁率46.1%
価格交渉促進月間(2024年3月)フォローアップ調査の結果を公表します(経産省)
2024年6月21日、中小企業庁は2024年3月の価格交渉促進月間に関するフォローアップ調査の結果を発表しました。この調査は、毎年3月と9月に実施される価格交渉促進月間において、受注企業が発注企業に対してどの程度価格交渉や価格転嫁を行えたかを把握するためのものです。今回の結果から、価格交渉や価格転嫁の状況についていくつかの重要な点が浮かび上がりました。
まず、2024年3月の調査では、価格交渉が行われた割合が59.4%で、前回よりも価格交渉の雰囲気が一層醸成されていることが確認されました。具体的には、発注企業から価格交渉の申し入れが増加しており、受注企業が価格交渉を実際に行う機会が増えていることがわかります。
次に、価格転嫁率が46.1%であったことも報告されました。これは、コストの増額分を全額価格に反映できた企業の割合が増加していることを示しています。しかしながら、価格転嫁に成功する企業とそうでない企業の間で二極化が進行している兆しも見受けられます。特に労務費に関する価格交渉の状況については、価格交渉が行われた企業の約7割が労務費についても交渉を実施したと回答しています。
さらに、正当な理由のない原価低減要請による代金減額が全体の約1%に見られました。これは、下請法違反が疑われるケースも含まれており、中小企業庁はこれらの情報をもとに下請法の執行を強化する方針です。
今回の調査では、主にアンケート調査と下請Gメンによるヒアリングが行われました。アンケート調査は30万社を対象に実施され、回答企業数は46,461社でした。この調査期間は2024年4月18日から5月31日までで、主な質問項目は発注企業との価格交渉や価格転嫁の実施状況、労務費に関する交渉状況、そして正当な理由のない原価低減要請による代金減額の状況でした。一方、下請Gメンによるヒアリングは2024年5月15日から6月28日まで行われ、全国の中小企業から広く価格交渉や転嫁状況について意見が集められました。
今後のスケジュールとして、2024年8月上旬を目途に発注企業ごとの価格交渉や価格転嫁の評価を記載したリストが公表される予定です。このリスト公表後、評価が芳しくない企業に対しては、所管大臣名による指導や助言が行われる予定です。
このような取り組みを通じて、中小企業庁は価格交渉・価格転嫁の促進および取引の適正化を一層推進していく考えです。今後も関係省庁と連携しながら、粘り強く対策を講じていくことで、中小企業の取引環境の改善を目指しています。
⇒ 詳しくは経済産業省のWEBサイトへ