2024年10月5日
労務・人事ニュース
公立学校給食調理場の空調設置率、単独調理場で83.6%達成!安全な環境づくりを推進
公立学校施設の給食調理場における空調(冷房)設備の設置状況調査を実施(令和6年9月1日現在)(文科省)
令和6年9月30日、文部科学省は全国の公立学校施設における給食調理場の空調設備の設置状況についての調査結果を公表しました。この調査は、公立学校施設の安全性と快適な環境を確保するために重要なものです。特に、給食を調理する場として利用される調理場の環境改善が求められており、空調設備が整備されているかどうかは児童生徒の健康や労働環境にも大きく影響します。
この調査結果によると、全国の公立学校の給食調理場における空調設備の設置率は、単独調理場では83.6%、共同調理場では91.4%に達しました。これらの数値は、前回調査(令和2年)から大幅に改善しており、単独調理場では17.1%、共同調理場では14.1%の増加が見られました。非汚染作業区域、すなわち調理室や配膳室、洗浄室においても空調設備の設置が進んでおり、全国的な取り組みの効果が反映された結果といえます。
調理室など非汚染作業区域における設置率が大幅に向上した一方で、汚染作業区域である下処理室や洗浄室などの設置率も55.8%に達し、これまでの42.5%から着実な増加が確認されました。この結果により、調理場全体としてより快適で安全な作業環境が整備されつつあることがわかります。特に、作業環境が過酷になりがちな夏季において、空調設備は非常に重要です。
休憩室などの非作業区域でも、設置率は高い水準に達しており、単独調理場で95.5%、共同調理場で95.6%と、どちらもほぼ完全に空調設備が整備されています。これにより、調理員が快適に休息をとれる環境が確保され、労働条件の改善にも貢献しています。
地域別の詳細なデータを見ても、ほとんどの都道府県で空調設備の設置率が高水準に達しています。例えば、東京都では調理室の設置率が95.3%に達しており、これは全国平均を上回る結果です。また、神奈川県や愛知県でも設置率が100%に近づいており、全国的な取り組みが一定の成果を上げていることがわかります。
しかし、まだ設置が進んでいない地域も存在します。特に、北海道や東北地方の一部の地域では、下処理室や洗浄室の空調設備の設置率が比較的低く、引き続き改善が求められています。このような地域差を解消し、全国的に均一な基準で設備を整えることが、今後の課題として残されています。
文部科学省は、今後も地方公共団体との連携を強化し、必要な財政支援を行いながら、空調設備の設置をさらに推進していく方針です。特に、児童生徒や教職員の健康を守るため、夏季の猛暑対策や労働環境の改善は喫緊の課題とされています。国の支援としては、設置費用の一部を国庫補助で賄う制度が導入されており、対象となる施設や工事内容についても具体的な基準が設けられています。
この補助制度の概要では、空調設備の設置に要する経費のうち1/3が補助されることが明示されています。財政力指数が1.00を超える地方公共団体に対しては2/7の補助率が適用され、さらに屋内運動場に空調を新設する場合には、補助率が1/2に引き上げられる特例措置も設けられています。対象となる工事費は最低400万円から最高7000万円までとされており、これに該当する工事を行う学校施設は、積極的に申請することが推奨されています。
一方で、資産として形状されないリース契約による空調設備の導入は、補助の対象外とされており、各学校や自治体は設備の導入方法にも注意を払う必要があります。また、屋内運動場の空調設置については、建物に断熱性が求められるという要件が設けられています。この断熱性がない場合、空調設置と合わせて断熱工事を行うことも補助の対象となるため、設備の効果を最大限に発揮するためにも、断熱対策は欠かせません。
このように、空調設備の整備は、児童生徒や教職員が安心して過ごせる環境を提供するための重要な取り組みです。調査結果からは、全国的に設置が進んでいるものの、地域や施設ごとの違いが依然として存在することがわかります。今後も、国や自治体が一丸となって設備の導入を支援し、すべての公立学校施設で快適な環境が整うよう取り組むことが期待されます。
これにより、児童生徒の健康や学習環境が改善されるだけでなく、教職員にとっても労働環境の向上が図られ、教育現場全体の質が向上することが期待されます。今後の取り組みの進展に注目が集まっています。
⇒ 詳しくは文部科学省のWEBサイトへ