2024年11月13日
労務・人事ニュース
兵庫県の2024年9月の有効求人倍率、1.01倍に減少:求人と求職の最新動向
一般職業紹介状況(令和6年9月分)(兵庫労働局)
兵庫県内における2024年9月の有効求人倍率は1.01倍であり、前月からわずかに0.01ポイント下回る結果となりました。有効求人倍率とは、1人の求職者に対して何件の求人があるかを示す指標で、この数値が1を超える場合は求職者よりも求人の方が多いことを意味します。これにより、求人が求職者数を上回る状態が続いていることが分かりますが、9月はわずかに減少しました。この小さな変動にもかかわらず、兵庫県全体としては依然として比較的高い求人倍率を維持しています。
有効求人数は81,286人で、前月と比べて0.1%減少しており、一方で有効求職者数は80,280人で前月比0.5%増加しています。つまり、求職者数がわずかに増加している一方で、求人自体は減少傾向にあります。新規求人倍率は1.75倍で、前月比0.12ポイント減少し、4か月ぶりに低下しました。この動きは、特に新規求人において、企業の採用活動がやや鈍化している可能性を示唆しています。
地域別で見ると、淡路地域、丹波地域、但馬地域など、兵庫県の各地域における有効求人倍率にはばらつきがあります。例えば、神戸地域や阪神地域では1.50倍以上の高い求人倍率が見られ、特に製造業や運輸業などの分野で求人が活発です。一方で、西播磨や東播磨地域では0.79倍から1.00倍程度であり、地域によっては依然として求人の少ないエリアもあります。
また、産業別に見ると、製造業や運輸業、宿泊業・飲食サービス業での求人が多く、特にこれらの分野での人材確保が課題となっています。例えば、製造業では9月に新規求人が3,111件ありましたが、前月比では1.9%の増加に留まり、全体的には鈍化していることが分かります。運輸業・郵便業では1,454件の新規求人がありましたが、前年同月比では12.9%減少しています。これらのデータから、企業の採用活動が一部の業界で停滞していることが分かります。
企業規模別に見ると、従業員1000人以上の大企業では引き続き安定した求人が見られる一方で、従業員数が少ない中小企業では新規求人が減少傾向にあります。特に、29人以下の小規模事業者では前年同月比で求人が大幅に減少しており、人材確保に苦労している可能性があります。このことから、中小企業が優秀な人材を確保するためには、給与や待遇面の見直しや、より効果的な採用戦略が必要であることがうかがえます。
さらに、物価上昇が雇用に与える影響についても注意が必要です。2024年に入ってから、エネルギー価格の上昇や物価全般の値上がりが企業活動に影響を与えており、特に中小企業においては人件費の高騰が大きな負担となっています。このため、求人の際にも賃金水準を上げざるを得ない状況にあり、企業の採用活動におけるコスト面での課題が浮き彫りとなっています。
雇用保険に関するデータも見逃せません。2024年9月には、受給資格決定件数が前年同月比で5.2%増加しており、失業給付を受ける人が増えています。これにより、失業率がわずかに上昇する可能性がありますが、総体的な雇用状況は依然として安定しています。正社員の有効求人倍率は0.80倍で、前年とほぼ同じ水準を維持していますが、非正規労働者の求人倍率に比べると低い状態が続いています。企業が正社員を採用する際のハードルが依然として高く、非正規雇用が増加している傾向にあります。
これらのデータから、兵庫県の企業における採用活動においては、特に中小企業が直面している課題が多く、人材確保が一層難しくなっていることが分かります。今後、兵庫県内の企業は、労働市場の変動に応じた柔軟な対応が求められ、求職者に対する魅力的な求人条件を提示することが重要です。また、地域ごとの特徴を踏まえた採用戦略を立てることが、より効果的な人材確保につながるでしょう。
最後に、企業の採用担当者が特に注目すべき点として、兵庫県内の新規求人倍率が全体的に鈍化していることが挙げられます。これは、今後の採用活動においても慎重な姿勢が求められる一方で、労働市場全体の動きに注視し、柔軟な採用戦略を立てることが成功の鍵となるでしょう。
⇒ 詳しくは兵庫労働局のWEBサイトへ