2024年9月28日
労務・人事ニュース
女性労働者230万人増加!正社員雇用の拡大が牽引する名目GDP600兆円突破の要因
第6回女性の職業生活における活躍推進プロジェクトチーム 資料3 内閣府政策統括官(経済財政分析担当)提出資料(厚労省)
日本経済における女性の労働参加は、マクロ経済に対して大きな影響を及ぼしています。特に、ここ10年での女性の正規雇用の増加は、経済成長に寄与しており、2024年4~6月期には名目GDPが史上初めて600兆円を突破しました。この背景には、アベノミクスによる女性の労働参加の推進や、非正規雇用者の増加が影響しています。正社員としての女性労働者は230万人増加し、非正規の女性労働者も200万人増加しています。これにより、日本全体の労働供給が増え、名目GDPの拡大が実現したのです。
日本の女性は、OECD加盟国中でも特に高い学力を持っており、特に数学的・科学的リテラシーにおいては男女ともに世界トップクラスの成績を誇っています。しかし、STEM(科学、技術、工学、数学)分野においては、女性の大卒者や大学院卒者の割合が依然として低く、この点での課題が浮き彫りになっています。女性の教育・労働環境の整備が、今後の日本の潜在成長率を高めるカギとなり、彼女たちが持つポテンシャルを十分に発揮できるような取り組みが必要です。
さらに、日本の女性の高齢者も労働市場に積極的に参加しており、特に65~74歳の女性の労働参加率は国際的に見ても高い水準にあります。しかし、多くの高齢女性はまだ就業意欲を持っており、働きやすい環境が整備されれば、さらなる労働力供給が期待できます。これにより、年収の壁を超えた働き方が進み、世帯全体の可処分所得が大きく増加することが予測されます。特に、60歳以降に年収150万円や200万円で働く女性は、配偶者手当の減少などを考慮しても、世帯の手取り所得が大幅に増えるとされています。例えば、年収200万円の場合、世帯全体で最大2,200万円もの可処分所得の増加が見込まれています。
一方で、賃金格差の問題も依然として存在しています。正社員の男女間での賃金差は、入社3年目には既に観察されており、結婚や出産を経験していない若年層であっても男女間での職務内容や労働時間の違いが影響しています。このような賃金格差は、女性が長期にわたって職業生活において活躍するための障壁となっており、勤続初期における職務経験の差が影響している可能性があります。これを是正するためには、男女ともに平等な配属や職務内容の経験が必要です。
また、日本ではサービス業において女性の非正規雇用割合が高いことが問題視されています。特に、飲食や小売、宿泊などの業界では、女性の非正規労働者が多く、その賃金水準はフルタイム労働者の約6~7割にとどまっています。これに対して、同一労働同一賃金の原則を徹底し、非正規雇用の女性が正社員として能力を発揮できる環境を整えることが求められます。
需要面では、女性の所得向上が消費拡大や住宅投資の増加につながる可能性があります。女性が世帯主の場合、収入は男性世帯主と比べて低いものの、消費性向が高いため、女性の所得が増えれば、消費が増加し、経済全体にプラスの効果をもたらすと考えられます。特に、住宅ローンにおいては、夫婦でペアローンを組むケースが増えており、単独ローンよりも高額な借入が可能です。これにより、女性の継続的な就業が住宅投資の拡大にも寄与するでしょう。
さらに、母子世帯の貧困率が高い日本においては、女性の所得向上が貧困対策にも不可欠です。母子世帯の大半が30代で、末子が5歳以下の段階で離婚を経験しているため、女性が安定した収入を得られる環境を整えることが重要です。特に、母子世帯における消費支出の割合は教育や医療に偏っているため、こうした世帯に対する支援策も必要です。
日本の若年女性は、賃金格差が要因の一つとなって地方から大都市へ流出しており、特に東北や北関東、甲信越などの地域では未婚男性の数が女性よりも多い現象が見られます。地域経済の持続性を高めるためには、女性が地元で活躍できる環境づくりが急務であり、賃金格差の是正や多様な働き方の推進が求められています。
このように、日本の経済成長において、女性の労働参加と所得向上は重要なテーマであり、持続的な経済発展には女性がその力を十分に発揮できる環境整備が欠かせません。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ