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2024年5月19日

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政府提案「年収の壁」支援強化パッケージ、2024年度の企業利用状況 全体の31.8%、実際の利用者は10%未満

「年収の壁」支援強化パッケージに対する企業における実態調査結果(公益社団法人 経済同友会)

最近、政府が提案する「年収の壁」支援強化パッケージの効果についての企業側の意見を探るため、特定の業界を対象にした実態調査が行われました。この調査は、特に顧客との接触が多い業界に属する企業を対象にしており、具体的には医療介護、保育、宿泊、飲食、小売業の43社が選ばれました。調査期間は今年の2月16日から3月22日までで、22社から有効な回答が寄せられました。

調査によると、7社(回答企業の約31.8%)が「年収の壁」支援強化パッケージの利用を計画しているか、すでに利用していると報告しています。ただし、これらの企業のうち5社では、対象となる従業員の実際の利用者は全体の10%程度にとどまると予想されています。この低い利用率には、従業員自身が扶養範囲内での就労を望んでいること、配偶者の勤務先からの家族手当との兼ね合い、そして本制度に対する理解不足などが理由として挙げられています。さらに、制度の利用が従業員間で不公平を生じさせる可能性に対する企業側の懸念も影響していると考えられます。

また、調査は人手不足とその対応策についても質問しており、多くの業界で人材不足が深刻であることが明らかになりました。特に技術者やAI、デジタルトランスフォーメーション(DX)の専門知識を持つ人材の必要性が高まっており、関連する支援策の充実が求められています。

この調査からは、現行の「年収の壁」支援強化パッケージが十分に活用されていないという問題点が浮き彫りになりました。そのため、政府に対しては、パッケージの見直しを行うとともに、より根本的な社会保険制度の改革に向けて迅速に動くことが求められています。これにより、実際に現場で働く多くの労働者が直面する課題への対応が期待されます。

⇒ 詳しくは公益社団法人 経済同友会のWEBサイトへ