2024年12月30日
労務・人事ニュース
日本の医療現場の現状:117.5万人の入院患者と727.5万人の外来患者
令和5年(2023)患者調査の概況 推計患者数(厚労省)
日本全国の医療施設で診療を受けている推計患者数は、入院患者が約117.5万人、外来患者が約727.5万人に上ります。この調査データを性別や年齢層、施設の種類ごとに分析したところ、高齢者の割合が特に高いことが明らかになりました。入院患者のうち、65歳以上が約75.5%に当たる887.2千人を占めており、外来患者でも65歳以上が約50%を占めています。これらのデータは、日本が高齢化社会に突入していることを裏付ける重要な指標となっています。
施設別に見ると、入院患者のほとんどが病院で診療を受けており、その割合は97.7%(114.86万人)に達しています。一方、外来患者については一般診療所の利用が最も多く、全体の約61.8%(4,494.3千人)を占めています。また、外来診療の一部は歯科診療所が担っており、1,263.8千人がこの種の施設を利用しています。これらのデータは、医療の提供体制が専門化していることを示しており、患者のニーズに合わせた多様な医療サービスが提供されている現状が伺えます。
年齢階級別のデータを見ると、75歳以上の高齢者が入院患者の57.3%、外来患者の31.3%を占めています。この年齢層では、慢性的な疾患や複数の健康問題を抱える人が多く、医療サービスへの依存度が高いことが示唆されます。これに加え、年齢層が高くなるほど医療機関への依存度が高まることも見逃せません。特に、70歳以上では入院患者の68.5%、外来患者の42.7%を占めており、超高齢社会がもたらす医療需要の高まりが浮き彫りとなっています。
疾患別に見ると、入院患者数が最も多いのは「精神及び行動の障害」で21.3万人を占めています。この他、循環器系疾患(18.2万人)や損傷・中毒(13.3万人)が上位を占めており、高齢化に伴う慢性疾患の増加が主因と考えられます。一方、外来患者では消化器系疾患が最も多く123.6万人に達しており、次いで健康状態に関連する要因(99.9万人)や循環器系疾患(84.2万人)が多い結果となっています。これらのデータは、疾患の種類ごとに医療の提供体制を整える必要性を示しています。
また、在宅医療の推計患者数は約239,000人で、このうち訪問診療が16.6万人を占めており、全体の約69.5%に上ります。この結果から、通院が困難な患者に対する医療提供の重要性が浮き彫りになっています。さらに、年次推移を見ても在宅医療患者数は増加傾向にあり、高齢化に伴いこの分野での医療需要がさらに高まることが予想されます。
これらのデータを基に、医療サービスの提供に関する重要な政策的課題を指摘することが可能です。まず、超高齢社会に対応するためには、慢性疾患や高齢者特有の健康問題に特化した医療サービスの強化が不可欠です。また、在宅医療の拡充と質の向上は、高齢化社会において重要な役割を果たします。同時に、地域ごとの医療資源の偏在を解消し、均一で質の高い医療を提供する仕組みを構築することが求められます。
企業の採用担当者にとって、これらの統計情報は医療分野の人材需要や市場動向を理解するうえで非常に有益です。特に、地域医療や在宅医療に従事する専門職の需要増加は、採用戦略の見直しや新たな人材育成プログラムの開発につながる可能性があります。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ