2024年2月26日
労務・人事ニュース
日本企業の海外展開戦略、新たな潮流へ
ジェトロ 2023年度 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査 ―海外事業の拡大意欲、上向く。対中国は様子見姿勢へ―(独立行政法人日本貿易振興機構)
2024年2月14日、日本の国際貿易促進機関であるジェトロが、2023年11月から12月にかけて行った日本企業の海外展開に関する調査結果を発表しました。この調査は、海外事業に意欲的な9,384社の日本企業を対象に、インターネットや郵送で行われ、3,196社から有効な回答を受け取りました。これは、回答率を34.1%とするものです。
今回の調査は、国際ビジネスの現場で直面している様々な課題、例えば中東やウクライナでの紛争の激化、円の価値の低下、高騰する物価、そして社会の分断リスクの増大などに焦点を当てています。これらの困難な状況に立ち向かい、日本企業がどのようにして自らの海外ビジネス戦略を適応させているのか、その最新の動きを明らかにします。
調査の結果、いくつかの重要なポイントが浮かび上がりました。まず、輸出や海外への投資に対する企業の意欲が復調の兆しを見せています。特に、今後3年間で最も注目される輸出先として、米国が中国を上回り首位に立ちました。これに加えて、台湾やインドへの関心も急速に高まっています。これらの動きは、市場の多様化やリスク分散を目指す企業戦略の表れです。
海外での事業拡大への意欲も、前年と比較して向上しています。特に米国は、引き続き事業拡大の最優先地として位置づけられており、大手企業の中には、インドを最も重要な市場と見なすところもあります。しかし、中国市場に対しては、新規ビジネスの検討や既存ビジネスの拡張を計画している企業が全体の3分の1にとどまり、これは過去最低の水準です。それでも、中国で事業を展開している企業や対中輸出を行っている企業の半数以上は、引き続きビジネスの拡充を期待しています。
さらに、コストの増加、需要の変化、地政学的リスクといった要因が、サプライチェーンの再編を加速させています。2023年以降、約7割の企業が販売、調達、生産戦略に何らかの見直しを実施し、調達先の多様化を進めています。
デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進も、企業にとって重要なテーマとなっています。2年連続でDXに取り組む企業が増加しており、効率化や市場開拓を目指しています。大企業では人権尊重の取り組みが進んでいますが、中小企業ではまだ進展が見られません。また、脱炭素化への取り組みも、大企業と中小企業で進捗に差があります。
この調査結果は、日本企業が直面する国際的なビジネス環境の変化にどのように対応しているかを示すものであり、今後の戦略立案に役立つ重要な情報源となるでしょう。
⇒ 詳しくは独立行政法人日本貿易振興機構のWEBサイトへ