2024年8月6日
労務・人事ニュース
日本経済2021-2022:成長と分配の好循環を目指して
白書等(経済財政白書、世界経済の潮流、地域課題分析レポート等)(内閣府)
2021年から2022年にかけての日本経済の状況と課題について、内閣府が発表した報告書をもとに整理しました。この報告書では、感染症と経済活動の両立を図りながら、成長と分配の好循環を実現するための取り組みが詳述されています。
まず、2021年の経済状況についてです。日本の景気は、2021年の9月末まで緊急事態宣言が断続的に発出された影響を受けて、力強さを欠いていました。しかし、10月以降、すべての都道府県で緊急事態宣言が解除され、経済社会活動が徐々に再開されると、個人消費も上向き、景気の持ち直しが見られるようになりました。ただし、2022年初頭からのオミクロン株の感染拡大には注意が必要です。
次に、企業部門の課題についてです。企業収益は回復傾向にあり、2021年度の設備投資計画も前年度より増加する見込みです。デジタル化や脱炭素関連の投資を通じて成長力を高めることが求められており、特にデジタル投資の効果を高めるためには、人への投資を強化することが重要とされています。また、半導体不足や東南アジアの感染拡大、中国の景気減速などが生産活動に影響を与えています。
家計部門については、企業の人手不足が顕在化しており、正社員の確保や定年延長などの取り組みが進められています。しかし、同一企業内での正社員登用や副業・兼業、転職を通じた人材活用はまだ限定的です。今後は、学びの機会の提供などを通じて、こうした人材の活用や労働移動をさらに促進する必要があります。また、多様な働き方が広がる中で、すべての働き方に対して十分なセーフティネットが確保されることが重要です。
デフレ脱却に向けた進捗も取り上げられています。輸入される原材料価格の高騰による交易条件の悪化が見られ、消費者物価も上昇しています。特に、所得水準が低い世帯では家計負担が相対的に大きくなっているため、賃上げが重要とされています。
最後に、サプライチェーンの強靭化についてです。経済活動の再開に伴い、世界各国で納期遅延などのサプライチェーン障害が深刻化しています。日本では、輸入先の集中度が高いことから、調達先の分散や国内生産回帰の検討も必要とされています。さらに、サプライチェーン全体で環境・人権保護に取り組む企業が増加しており、デジタル技術の活用も求められています。
これらの取り組みを通じて、日本経済は成長と分配の好循環を実現し、持続可能な経済成長を目指しています。
参考:日本経済2021-2022-成長と分配の好循環実現に向けて-(令和4年2月7日)概要
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ