2024年12月31日
労務・人事ニュース
水道事業の経営改善と耐震化を同時に進めるための課題と解決策とは?
「水道カルテ」をぜひご確認ください ~水道事業者等の経営と施設の耐震化の現状を見える化~(国交省)
国土交通省は令和6年12月20日、全国の水道事業者における経営改善と施設の耐震化を進めるため、新たに「水道カルテ」を公表しました。この取り組みは、水道事業の現状を見える化することを目的としており、全ての水道事業者が抱える経営や施設の耐震化状況を簡潔に示し、問題解決への具体的な手がかりを提供するものです。特に、住民が自分の地域の水道事業の現状を理解し、必要な対策への理解を深めることを目的としています。
背景には、令和6年に発生した能登半島地震がありました。この地震では、耐震化が進んでいない基幹施設が被害を受け、広範囲で長期的な断水が発生したことが問題となりました。これにより、耐震化の遅れとその重要性が再認識され、急速な対応が求められています。さらに、人口減少に伴う水道料金収入の減少や老朽化した施設の更新にかかる費用が増加し、今後水道事業の経営はますます厳しくなることが予想されています。そのため、経営の改善と施設の耐震化を同時に進めることが急務となっており、「水道カルテ」はその実現をサポートするためのツールとして活用されます。
「水道カルテ」では、水道事業者の料金回収率と耐震化率を基に、その現状を視覚的に分かりやすく表現しています。料金回収率は、給水に係る費用がどれだけ給水収益で賄えているかを示す指標であり、耐震化率は基幹管路、浄水施設、配水池の耐震化の進捗を示しています。これらの指標をもとに、全国の水道事業者は8つのグループに分類されました。その結果、料金回収率が100%未満でかつ耐震化が全国平均を下回る事業者が248あり、料金回収率が100%以上でも耐震化が全国平均に達していない事業者が164であることが明らかになりました。これにより、耐震化と経営改善の両立が多くの事業者にとっての課題であることが浮き彫りになりました。
国土交通省はこの公表後、事業者が課題解決に向けて取組みを進めるための具体的な手順やガイドラインを策定し、技術的な支援を行う方針です。これにより、水道事業者は経営改善と耐震化を進めるための方向性を明確にし、迅速に実行に移すことが期待されます。また、住民にとっても「水道カルテ」は、自分が住む地域の水道事業の現状を知り、その必要性を認識するための重要なツールとなります。地域全体での理解と協力が深まることで、水道事業の持続可能性が向上し、安全な水の供給が確保されることが望まれます。
詳細については、国土交通省の公式ウェブサイトで公開されているため、関心のある方はぜひ確認してみてください。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ