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2024年6月8日

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無期転換者の待遇改善が急務!企業の昇進機会提供が25%の満足度向上に寄与

「二極化」以後の非正規雇用・労働―公的統計等の公表データ集計・個票データ分析より―(JILPT)

2024年5月30日、非正規雇用に関する新たな調査結果が発表されました。この調査は、正規雇用と非正規雇用の「二極化」問題を解決するための施策の効果と、近年の雇用環境の変化を分析することを目的としています。調査は公的統計データの時系列集計と個別データの二次分析を用いて行われました。

まず、調査結果によると、非正規労働者の割合はここ数年で頭打ちになり、特に女性や54歳以下の現役世代では低下傾向が見られます。これは、若年層を中心に正規雇用の機会が増えたことを示しています。また、従業員数10人以上の企業における有期雇用労働者の割合も2017年をピークに減少しています。これに伴い、非正規労働者の選択理由も変化し、「正規の職員・従業員の仕事がないから」という理由が減り、「自分の都合のよい時間に働きたいから」という理由が増えています。

さらに、非正規労働者を活用する企業の理由も変わってきました。かつては「賃金の節約のため」という理由が多かったのですが、最近では「正社員が確保できないため」という理由が増えています。これは、企業が正社員を確保するのが難しくなっていることを反映しています。

一方で、非正規労働者のうち、「正社員として働ける会社がなかったから」という理由で非正規労働者となった者の割合は減少しています。特に若年層でその傾向が顕著です。これにより、正社員への転換のハードルが下がっていることが示唆されています。ただし、依然として正社員への転換が難しい非正規労働者も存在し、彼らへの支援が必要です。

また、非正規労働者の賃金格差も縮小傾向にあります。2010年から2019年にかけて、正規・非正規間の賃金格差は2~4%ポイント縮小しました。しかし、依然として賃金や雇用の安定性の格差は大きく、さらなる改善が求められています。企業の中には、正社員と非正規労働者の賃金格差が小さく、「同一労働同一賃金」に積極的に対応している企業も増えています。

この調査結果から、非正規労働者の割合が減少し、正規・非正規間の賃金格差が縮小していることがわかります。しかし、「二極化」問題は依然として存在し、その解決には時間がかかるでしょう。労働政策としては、正規・非正規間の格差解消に向けた取り組みを継続し、非正規労働者の待遇改善や正社員転換の促進が必要です。

また、無期転換ルールが実施されて以来、無期転換者の待遇や意識にも変化が見られます。同じ仕事をしている正社員との待遇差に不満を持つ無期転換者が増えており、特に昇進の機会に対する不満が強いことが明らかになりました。これに対して、企業は無期転換者の待遇を見直し、昇進機会を提供することで、彼らの意欲と能力を引き出すことが求められます。

以上の調査結果を踏まえ、今後も正規・非正規間の格差を縮小し、非正規労働者の待遇改善を図るための施策が重要となります。また、企業側の取り組みも不可欠であり、労働市場全体の改善に向けた努力が求められます。

⇒ 詳しくは独立行政法人労働政策研究・研修機構のWEBサイトへ

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