2024年6月19日
労務・人事ニュース
里親委託率20%の現状打破へ向けた具体策とは?こども家庭庁の取り組み
社会的養護に関する調査-里親委託を中心として-<結果に基づく勧告>(総務省)
令和3年度末時点で、社会的養護の下に置かれている児童は約4.2万人にのぼります。平成28年の児童福祉法改正により、家庭養育優先の原則が明確化され、こども家庭庁は里親やファミリーホームのような家庭環境での児童養育を推進していますが、里親委託率は約2割にとどまっています。本調査は、29の児童相談所における里親委託と里親支援の状況を調査し、里親がどのように支援を受け止めているかをアンケートとインタビューで把握しました。
調査結果によれば、里親委託の課題として、児童の属性と里親の希望が合わず、委託が進まないケースが多く見られました。また、共働きの里親が受託するための環境整備も課題となっています。このため、こども家庭庁には、里親の受け入れ希望の幅を広げるために短期委託などの活用や、保育所の優先利用を徹底することが求められました。総務大臣からこども家庭庁長官への勧告も行われました。
里親委託の推進と支援の充実を図るため、調査では具体的な事例も取り上げられました。例えば、里親養育支援児童福祉司の増員が里親登録数の増加につながり、結果として里親等委託率の向上を実現した事例があります。一方で、人材確保が困難であるため、配置基準に満たない児童相談所も存在し、その理由として募集しても希望者が集まらないことが挙げられました。
外部委託についても調査され、里親支援を充実させるために民間のノウハウを活用する例が紹介されました。外部委託を実施している児童相談所では、相談受付体制や家庭訪問の実施率が充実しており、里親にとっても支援の質が向上するメリットがあります。
今後、こども家庭庁は里親委託をさらに推進するために、家庭養育優先の原則を徹底し、里親やファミリーホームに対する支援体制を強化していく必要があります。
⇒ 詳しくは総務省のWEBサイトへ