2025年1月11日
労務・人事ニュース
高知県 障害者雇用率が2.53%に上昇、法定雇用率達成企業は55.7%に減少(令和6年6月1日時点)
令和6年 障害者雇用状況の集計結果(高知労働局)
2024年の障害者雇用状況について、高知労働局が発表した最新データによると、民間企業、公的機関ともに法定雇用率達成の状況において明確な課題が浮き彫りとなっています。特に民間企業における実雇用率は2.53%と全国平均の2.41%を上回ったものの、法定雇用率を達成している企業の割合が前年より7.9ポイント低下し55.7%にとどまりました。この結果は、企業の取り組みが一定の成果を上げている一方で、課題解決にはさらなる努力が必要であることを示しています。
民間企業で雇用されている障害者の総数は2,101人で、前年から89.5人、4.45%増加しました。特に精神障害者の雇用数は476.5人で、前年より14%増加するなど、大きな伸びを見せました。しかし、規模別にみると、40人以上100人未満の企業や500人以上の企業で雇用数の増加が目立つ一方で、100人から300人未満の企業では減少が見られます。このような規模間の違いは、特定の企業グループが障害者雇用を進める中で他のグループが遅れを取っている可能性を示唆しています。
公的機関に目を向けると、県や市町村の教育委員会では障害者雇用率がそれぞれ3.22%と前年の2.83%を上回る結果となり、改善が見られます。しかし、市町村において法定雇用率を達成している機関の割合は、前年の74.5%から61.5%に減少しました。この背景には、特定地域の機関が雇用率達成に苦戦している状況が考えられます。
産業別では、製造業や医療・福祉などで雇用数が増加した一方で、情報通信業や宿泊・飲食サービス業では減少が顕著でした。具体的には、製造業では雇用者数が287人と前年から19.5人増加した一方で、宿泊・飲食サービス業では12人の減少が見られました。このような産業ごとのばらつきは、業界特性や経済環境が障害者雇用に与える影響を反映しています。
また、未達成企業の実態に目を向けると、269社が法定雇用率を達成できておらず、そのうち約73.6%が不足数1人以下の企業でした。この事実は、わずかな取り組みの改善で法定雇用率を達成できる企業が多数存在することを示しています。逆に、障害者を1人も雇用していない企業が全体の62.1%を占めており、未達成企業全体の課題として解決が求められています。
障害者雇用を推進するためには、法定雇用率を達成できない企業への指導や支援が重要です。具体的には、障害者雇用における成功事例の共有や企業向けの助成金制度の活用、障害者雇用に関する専門的なアドバイザリーの導入などが効果的であると考えられます。さらに、法定雇用率達成を阻む要因を明確化し、企業が直面する障害や課題に応じた柔軟な対応が必要です。
最後に、企業にとっての課題解決の鍵は、単に法定雇用率を達成することだけでなく、障害者が働きやすい環境を整えることにあります。特に中小企業では、障害者を受け入れるための職場環境の整備や、既存の従業員との連携を強化するための研修の導入が求められています。このような取り組みは、障害者雇用を推進するだけでなく、企業全体の生産性や多様性の向上にも寄与するでしょう。
⇒ 詳しくは高知労働局のWEBサイトへ