2024年10月12日
労務・人事ニュース
鳥取県の労働市場、令和6年8月の求人倍率1.22倍に低下で人材確保が課題
鳥取県内の雇用情勢(令和6年8月分)(鳥取労働局)
鳥取県内の雇用情勢に関する最新のデータが公開され、令和6年8月の有効求人倍率は1.22倍で、前月より0.03ポイント低下しました。この結果は、求人数と求職者数がともに減少したものの、求人数の減少率が求職者数を上回ったことが要因です。全体として、雇用情勢の改善が見られた時期と比較すると、その勢いは弱まっており、物価上昇などの外的要因に注意を払う必要があると指摘されています。
鳥取県の8月の有効求人数は12,466人で、前月より359人減少し、有効求職者数も10,190人で104人の減少となりました。特に、新規求人数は前年同月比で13.0%減少し、4,306人に留まっています。これを産業別に見ると、建設業やサービス業では増加が見られるものの、製造業や医療・福祉、卸売業・小売業などの主要産業では軒並み減少が続いています。
具体的な数字で見ると、製造業の新規求人数は220人減少し、前年同月比で37.3%の減少を記録しました。これは、地域の産業基盤の一部が厳しい状況に直面していることを示しています。医療・福祉分野でも138人減少し、12.8%の低下を示しています。卸売業・小売業も112人減少し、15.9%の減少率を記録しています。宿泊業・飲食サービス業も減少が続いており、前年同月比で17.5%減少し、85人の減少を記録しています。
一方で、建設業ではプラスの動きが見られ、前年同月比で8.4%増加し、38人の増加が確認されています。サービス業も1.0%増加し、5人の微増を見せていますが、全体的には地域経済の回復基調には時間がかかると考えられます。
また、新規求職者の動向についても、前年同月比で13.1%減少しており、新規求職者数は1,697人に留まりました。特に常用新規求職者数は13.2%減少し、1,684人となっています。これを職業形態別に見ると、在職者が18.4%減少し、120人の減少、無業者も11.1%減少し、16人の減少となりました。離職者についても10.5%減少し、120人減少しました。離職者の内訳では、事業主都合での離職者は2.3%増加した一方、自己都合離職者は13.4%減少し、115人の減少となりました。
正社員の求人動向も厳しい状況が続いています。正社員の有効求人数は6,139人で、前年同月より7.5%減少しました。有効求職者数も5,764人で0.6%減少しており、正社員の有効求人倍率は1.07倍と、前年同月比で0.07ポイント低下しました。これにより、14ヶ月連続で前年同月を下回る結果となっています。全国的な有効求人倍率も同様に低下しており、全国平均は1.23倍で、前月比で0.01ポイントの低下となっています。
求人倍率の低下は、特に正社員を対象とする企業にとって深刻な課題となっています。企業が必要とする人材を確保するためには、労働市場の変化に対応し、求職者に対して魅力的な条件を提示することが求められます。また、求人倍率が低下する中で、企業が求めるスキルや経験を持った人材が不足している状況も浮き彫りとなっています。こうした状況に対応するため、企業は求人プロセスの改善や労働環境の見直し、さらにはリモートワークや柔軟な働き方の導入など、新たな人材確保策を検討する必要があるでしょう。
鳥取県内の労働市場におけるこれらのデータは、企業の採用戦略に重要な示唆を与えるものです。例えば、建設業やサービス業の求人増加は、これらの分野が比較的安定した雇用を提供していることを示しています。一方で、製造業や医療・福祉、卸売業・小売業などの減少は、これらの産業においては厳しい採用状況が続いていることを示しており、特定のスキルや経験を持った人材をいかに確保するかが重要な課題となります。
このような状況下で、企業が労働市場において競争力を維持し、優秀な人材を確保するためには、柔軟な採用戦略が不可欠です。特に、鳥取県内の企業は、地域特有の労働市場の動向を注視しつつ、求職者に対して魅力的な働き方やキャリアアップの機会を提供することが求められます。これにより、企業は労働市場での競争力を高め、持続可能な成長を実現することができるでしょう。
⇒ 詳しくは鳥取労働局のWEBサイトへ