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2025年2月28日

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3月は「自殺対策強化月間」全国的な自殺防止に向けた啓発活動を集中的に実施

3月は「自殺対策強化月間」です(厚労省)

令和7年2月28日、厚生労働省は、3月を「自殺対策強化月間」と定め、全国的な自殺防止に向けた啓発活動を集中的に実施すると発表した。この取り組みは、関係府省庁や地方自治体、関係団体と連携し、広範囲にわたる支援策を展開することを目的としている。

令和6年度の自殺者数については、暫定値として20,268人と報告されており、これは前年の確定値と比較して1,569人の減少となる。この数値が確定すれば、1978年の統計開始以降で2番目に少ない記録となる。しかしながら、小中高生の自殺者数は527人と報告され、前年の確定値と比べ14人増加しており、このまま確定すれば1980年以降で最多となる見込みである。特に子どもや若者の自殺が増加していることは、深刻な社会問題であり、より一層の対策が求められている。

自殺対策強化月間においては、さまざまな支援策が展開される。その中でも特に重視されるのが、相談支援体制の強化である。従来の電話相談に加え、SNSを活用した相談窓口の拡充が行われる。近年、若年層を中心にSNSを通じた相談のニーズが高まっていることから、迅速かつ適切な対応が可能な体制を整備することが重要とされている。また、相談窓口の周知を目的として、ポスターや動画を活用した広報活動も実施される。これにより、自殺リスクを抱える人々に適切な支援情報が届くよう努める。

特に中高年層に向けた対策として、地域に根ざした支援活動の強化も図られる。経済的な困難や孤独感を背景にした自殺が依然として多いことから、自治体やNPOと協力し、生活相談や精神的ケアを提供する取り組みが進められている。企業や職場におけるメンタルヘルス対策の強化も推奨されており、職場でのストレス管理や相談窓口の設置を促す動きが広がっている。

一方で、自殺に関する報道の在り方についても、改めて慎重な対応が求められている。WHO(世界保健機関)の『自殺報道ガイドライン』によれば、不適切な報道が自殺を誘発する可能性が指摘されている。そのため、メディア各社には、センセーショナルな表現を避け、適切な支援情報を提供するよう呼びかけられている。自殺対策の取り組みを社会全体で推進するためにも、報道機関の協力が不可欠である。

厚生労働省は、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指し、今後も自殺対策を継続的に推進していく考えを示している。自殺の要因は多岐にわたるが、適切な支援と情報提供により、未然に防ぐことができるケースも多い。関係機関が連携し、地域社会全体で支援体制を強化することが、持続可能な対策につながるだろう。

また、一般市民に向けても、自殺のリスクを抱える人への適切な対応について啓発が進められる。身近な人が悩みを抱えていると感じた場合、どのように声をかけ、どのような支援策を紹介すべきかといった基本的な知識の普及が求められる。特に、学校や職場などのコミュニティにおいて、精神的な負担を抱えた人が孤立しないような仕組みづくりが重要である。

このように、3月の自殺対策強化月間では、多角的な取り組みが展開される予定であり、一人でも多くの命を守るための活動が強化されることとなる。企業や教育機関、自治体、医療機関が連携し、それぞれの立場からできる支援を考え、実行していくことが求められている。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ