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2024年5月23日

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第三セクターの経常赤字率40.6%に上昇、収益総額6兆9,493億円達成も地方自治体の補助金依存が顕著に

「第三セクター等」の収益(売上高)が過去最高 三セク等の4割が経常赤字、変わらぬ“補助金頼り”(TSR)

2023年12月に総務省が発表した2022年度の「第三セクター等」の経営状況調査によると、全国に存在する第三セクター法人は7,187法人で、2011年度から13.4%減少しました。2022年度に決算が明らかになった5,987法人の収益総額は過去最高の6兆9,493億円に達し、コロナ禍の影響を受けながらも大幅な回復を見せました。しかし、その一方で2,435法人が経常赤字を計上し、赤字率は40.6%と過去11年間で最大となっています。収益の増加にもかかわらず、コストの上昇により利益率が低下した法人が多いようです。

債務超過の法人は263法人で、これは全体の4.3%にあたり、前年度比でわずかに改善しました。地方公共団体から補助金を受けている法人は2,958法人で、そのうち2,765法人が収益に補助金を計上しています。大半の法人は補助金なしでは黒字を維持できない状況が続いており、この依存体質は依然として改善の兆しが見えません。

第三セクターは地方公共団体からの補助金や借入金に頼っているケースが多く、また損失補償や債務保証を受けている場合も少なくありません。特に病院や交通機関などの公共性の高い事業を担っているため、生産性や採算性だけで判断すべきではないとされています。しかし、地方自治体の財政リスクを考慮すると、多くの第三セクターの生産性向上や経営改善が求められています。

2022年度の調査によれば、第三セクター法人の総数は過去数年で緩やかに減少している一方で、地方独立行政法人は増加傾向にあります。これは医療機関や公立大学の独立行政法人化が進んだ結果とされています。地方三公社も減少していますが、依然として多くの法人が存在しています。

経常赤字法人の割合は「社会福祉・保健医療」分野で特に高く、53.3%に達しています。これに対して「情報処理」分野の経常赤字法人率は18.8%と低くなっています。また、地方独立行政法人の財務内容の改善が進んでいる一方で、地方三公社や第三セクターの債務超過法人率は依然として高い水準にあります。

地方公共団体からの補助金総額は9,679億5,300万円に達し、これは前年度比で7.6%増加しています。この補助金がなければ黒字を維持できない法人が多く、抜本的な経営改善が求められています。

都道府県別にみると、黒字法人率が最も高いのは徳島県で72.7%に達しており、全国平均の59.3%を上回る22都道府県が存在します。一方で、赤字法人率が最も高いのは広島県の51.1%で、全国平均の40.6%を上回る県がいくつかあります。

債務超過法人数は前年度から減少し、263法人となりましたが、依然として地方自治体への財政負担は大きいです。特に地方独立行政法人は平均債務超過額が高く、地域の基幹的な医療機関が多く含まれています。

政府は2009年度から第三セクターの抜本的改革を推進し、法人数の減少と経営の健全化を目指してきましたが、依然として多くの法人が補助金依存の経営を続けています。今後も地方公共団体の財政リスクを軽減するためには、第三セクターの効率化と経営改善が不可欠です。

⇒ 詳しくは東京商工リサーチのWEBサイトへ