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2024年4月27日

労務・人事ニュース

運輸業と郵便業における労使関係の進化と需要変動の実態分析

運輸業・郵便業における需要変動と労使関係(JILPT)

運輸業界および郵便業界における最近の労使関係と需要の変化について、2024年4月12日に公表された研究報告が新たな調査結果を示しています。この報告では、業界内での需要の変動と、それに対する企業の戦略的対応に焦点を当てています。

本調査では、運輸業と郵便業における需要変動がどのように企業の人事戦略や雇用維持に影響を与えているかを、詳細にヒアリング調査を通じて掘り下げました。この研究の主要な発見は、企業がどのようにして変動する市場環境に対応しているかに関するものです。

まず、需要の減少や増加に応じた雇用調整策が、各社で異なる方法で実施されている点が明らかになりました。鉄道会社では、新幹線や在来線の減便による雇用の調整が行われ、一部では賃金カットや一時帰休が導入されました。一方、郵便業と物流業では、需要の減少に直面しながらも、主に賃金の抑制のみが行われています。

特に注目されるのは、B to C事業での需要増に応じた物流業者の対応です。一部の企業では、内部の事業部間で応援を行うことで、需要変動に柔軟に対応していることが示されました。

次に、人材確保の課題についてです。調査結果によると、多くの企業が人材の定着や採用に苦労しています。特にバス会社や郵便業では、新たな採用策の導入や労働条件の改善が試みられています。一例として、物流業では安定した昇給や福利厚生の充実を通じて、従業員の定着を促しています。

さらに、2024年4月から適用される新しい労働時間規制に対する準備状況も詳しく分析されました。新規制に対応するために、各社は運転業務の労働時間を短縮し、運行スケジュールの調整を迫られています。これにより、更なる人材の確保が必要になるとされています。

最後に、本報告書は、運輸業と郵便業における労使間の関係強化と、春闘交渉の進展にも言及しています。多くの企業で、組合との協議を通じて、雇用の維持や労働条件の改善が図られており、労働者の権利保護が強化されている様子が窺えます。

この研究からは、運輸業と郵便業における需要変動への適応、人材の確保と定着、労働時間規制への対応、そして労使関係の変化など、複数の重要な洞察が得られます。これらの知見は、業界全体の持続可能な成長と労働環境の改善に貢献することが期待されます。

⇒ 詳しくは独立行政法人労働政策研究・研修機構のWEBサイトへ