2024年9月4日
労務・人事ニュース
2024年版日ASEAN知財共同声明が採択、AI・IoT技術特許審査の透明性確保と誤訳訂正制度の整備を強調
日ASEAN知財共同声明2024を採択しました(経産省)
2024年9月3日、ブルネイにおいて開催された第14回日ASEAN特許庁長官会合において、日本の特許庁とASEAN各国の知的財産庁は「日ASEAN知財共同声明2024」を採択しました。この声明は、AIやIoTといった先端技術の特許審査における透明性の確保や、特許出願時に発生する誤訳問題に対処するための制度整備の重要性を強調するものです。この共同声明が採択されたのは、第9回会合以来5年ぶりのことであり、両者の協力関係が新たな段階に進んだことを示しています。
ASEAN地域では、ASEAN知的財産協力作業部会(AWGIPC)が策定した「ASEAN知財アクションプラン2016-2025」に基づき、知的財産環境の向上に向けた取り組みが進められています。日本の特許庁は、こうしたASEAN諸国の取り組みを支援するため、長年にわたりさまざまな協力を行ってきました。また、2020年からは日ASEAN特許専門家会合が設立され、AIやIoTをはじめとする先端技術に関する特許審査のあり方について、各国の実務者が集まり議論を重ねてきました。
今回の会合では、特許審査基準の透明性向上や誤訳訂正制度の整備など、過去4回の専門家会合で議論されてきた成果が確認され、今後の協力体制を強化することで一致しました。また、2023年度の日ASEAN知財アクションプランがすべて実施されたことが報告され、2024年度に向けた新たなアクションプランが合意されました。これには、東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)による調査の継続や、第5回日ASEAN特許専門家会合の開催、国際出願制度の運用協力の推進、人材育成と審査業務管理に関する協力の強化、知財の商業化および普及啓発の促進が含まれます。
さらに、ERIAによる中間報告では、ブランディング戦略や医薬品などの注目技術に関する審査実務の調査結果が報告されました。この報告内容は、第5回日ASEAN特許専門家会合でも議論される予定で、ASEAN各国の審査実務の整備が一層進むことが期待されています。
特許庁は今後もASEAN各国の知的財産庁との協力をさらに深化させ、ASEAN地域における知的財産制度の発展に向けて積極的に取り組んでいく方針です。これにより、日本企業がASEAN市場で適切な知的財産権の保護を受けられるよう、引き続き支援を行っていくことを目指します。
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