2024年12月10日
労務・人事ニュース
2024年10月の青森県有効求人倍率1.09倍、物価上昇の影響も懸念
令和6年10月の青森県の雇用失業情勢について(青森労働局)
2024年10月の青森県における雇用情勢が発表され、求人数と求職者数の推移、ならびに求人倍率の変動に注目が集まっています。青森労働局によると、県内の有効求人倍率は1.09倍と、前月比0.02ポイント低下しました。この数値は2か月連続での低下を意味し、引き続き弱含みでの推移が続いています。具体的には、有効求人数が25,300人、有効求職者数が23,260人と、求人が求職を上回る状況を維持しているものの、前年同月比で減少傾向が見られます。
一方で、新規求人倍率は1.79倍と、前月比0.18ポイント上昇しました。この上昇は3か月ぶりの増加であり、新規求人数が9,641人、新規求職者数が5,382人であったことが背景にあります。これにより、新たな雇用機会が一定程度拡大していることが示唆されています。特に注目すべきは、建設業や医療・福祉分野での新規求人の伸びです。建設業では1,430人、医療・福祉分野では2,326人の新規求人があり、いずれも前年同月比で大幅な増加を記録しました。
これらの数値は、産業別に見ると顕著な違いが見られます。製造業では新規求人が789人と、前年同月比でわずかに増加しましたが、小売業やサービス業においては引き続き求人が堅調です。例えば、小売業では新規求人が1,359人で前年同月比で11.8%減少しているものの、飲食業を含む宿泊・飲食サービス業では大幅な増加を記録しています。このような動向は、県内で進む経済活動の再開と観光業の回復が影響していると考えられます。
しかしながら、雇用情勢全体としては安定的とは言い難い部分もあります。特に、物価上昇が雇用市場に与える影響が懸念されています。エネルギー価格や生活必需品の価格上昇が家計に負担を与え、消費意欲を抑制する可能性が指摘されています。これに伴い、一部の産業では採用計画の見直しが進んでいる状況です。また、特定地域における有効求人倍率の変動も注目ポイントです。例えば、八戸市の有効求人倍率は1.46倍と、前月比で減少しました。一方、むつ市では1.79倍と、他の地域よりも高い数値を維持しています。これらの地域間格差は、産業構造の違いや人口動態の影響が反映されているとみられます。
また、ハローワークを活用した就職支援活動も活発化しています。12月には、県内各地で福祉関連のセミナーや面談会が開催される予定であり、企業と求職者をつなぐ取り組みが進められています。これらのイベントは、地域に特化した雇用支援策として重要な役割を果たしており、特に中小企業にとっては人材確保の有力な手段となっています。
青森県の雇用市場は、新型コロナウイルスの影響から回復基調にある一方で、課題も依然として山積しています。企業側は、求人数の確保とともに、採用の質を高める取り組みが求められています。特に、若年層や女性、高齢者など多様な人材を積極的に採用する姿勢が重要となっています。これにより、地域経済の活性化と人口減少問題への対応が進むことが期待されます。
⇒ 詳しくは青森労働局のWEBサイトへ