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2025年5月7日

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「使用前、周囲よく見て ラベル見て」農薬事故防止へ令和7年全国一斉運動実施

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「令和7年度 農薬危害防止運動」の実施について(農水省)

農林水産省は、令和7年6月1日から8月31日までの3か月間、「令和7年度農薬危害防止運動」を実施することを発表しました。この運動は、農薬の使用が増える夏季に向けて、農薬に起因する事故や被害の発生を未然に防ぐことを目的とし、厚生労働省や環境省、各自治体とも連携して行われます。農薬の安全かつ適正な使用、正しい保管管理、そして環境への配慮を促進することが運動の中心的な柱となっています。

農薬は、農作物の生産を支えるために欠かせない資材である一方で、使用方法を誤ると人や家畜への健康被害、さらには水質汚染や生態系への悪影響を引き起こすリスクも存在します。そのため、農林水産省では農薬取締法や毒物及び劇物取締法などの法令に基づき、平素から関係者への指導を行っていますが、特に農薬の使用機会が集中する6月から8月にかけては、事故防止のための集中的な啓発活動が効果的であると判断し、例年この期間に農薬危害防止運動を実施しています。

令和7年度の運動テーマは「使用前、周囲よく見て ラベル見て」と設定されました。このテーマには、農薬使用前に周囲の状況を十分に確認し、農薬ラベルに記載されている使用方法や注意事項をしっかり確認することの重要性が込められています。特に、近年問題となっている農薬飛散による周辺住宅地への影響や、農薬誤使用による作物被害を防ぐためには、ラベル情報を正確に読み取る意識づけが欠かせません。

今回の農薬危害防止運動では、農薬及びその取扱いに関する正しい知識の普及啓発をはじめ、農薬による事故防止のための指導、農薬の適正使用や適正販売についての指導、有用生物や水質への影響を低減するための関係者連携が重点的に進められます。これにより、農業現場での安全対策を徹底させるとともに、周辺住民の安心感向上を図る狙いがあります。

また、近年特に問題視されている項目については、重点指導項目として明確に掲げられています。まず第一に、農薬ラベルを活用した使用方法の確認が求められます。農薬ラベルには使用量や希釈倍率、散布時の注意点などが詳細に記載されており、これらを遵守しなければ農薬の効果が発揮されないばかりか、周囲への悪影響を招くおそれがあります。第二に、土壌くん蒸剤を使用する際には、適切な取扱いを行うことが求められています。土壌くん蒸剤は高濃度で使用されるため、取り扱いを誤ると重大な事故につながるリスクが高いため、特に厳格な管理が必要です。

さらに、住宅地などで農薬を使用する際には、周辺住民への十分な配慮と飛散防止対策が不可欠とされています。最近では、公園や街路樹の管理における農薬使用による飛散リスクが社会問題化しており、環境省も「公園・街路樹等病害虫・雑草管理マニュアル」を策定してリスク軽減策の普及に努めています。最後に、農薬の誤飲事故や盗難防止の観点から、適切な保管・管理の徹底も重要な指導事項とされています。農薬は有害性を持つ薬剤であるため、子どもや第三者が容易に手にできないよう、安全な場所に施錠保管することが求められます。

農薬危害防止運動の実施主体は、農林水産省、厚生労働省、環境省、各都道府県、保健所設置市及び特別区です。これらの行政機関が連携しながら、全国一斉に運動を推進する体制が取られています。さらに、農薬販売業者や農業団体、農業者自身もこの運動に主体的に参加し、現場レベルでの安全意識向上を図る役割が求められています。

農薬の適正使用に関する具体的な情報は、農林水産省の「農薬の適正な使用」特設サイトにて公開されており、誰でも最新の正しい知識を得ることが可能です。また、環境省が作成した公園・街路樹等管理マニュアルや、農薬工業会が提供する農薬中毒時の症状と治療法に関する情報も、重要な参考資料となっています。

農業現場では、生産効率向上のために農薬に依存する側面もありますが、安全対策を怠れば、かえって生産基盤そのものを揺るがしかねません。だからこそ、農薬の安全使用は単なる遵法行為にとどまらず、持続可能な農業を実現するための基本的な条件なのです。今回の運動テーマである「使用前、周囲よく見て ラベル見て」には、その本質が簡潔に表現されているといえます。農薬を使う際には、単に目の前の作業に集中するだけでなく、常に広い視野を持ち、周囲の環境や人々への影響に十分配慮する姿勢が求められます。

令和7年度農薬危害防止運動は、単なる啓発活動にとどまらず、関係者全員が一体となって安全意識を高め、実際の行動に結びつけることが期待されています。農薬事故は一度発生すれば、健康被害や訴訟リスク、農地の信頼失墜といった深刻な影響をもたらすため、事前のリスク管理が極めて重要です。農業者のみならず、農薬を取り扱うすべての人々にとって、この運動は自身の業務を見直す良い機会となるはずです。

⇒ 詳しくは農林水産省のWEBサイトへ

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