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2025年3月12日

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その他のサービス業の平均月給は285,945円!前年比2.9%増(毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報)

毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報 第1表 月間現金給与額(厚労省)その他のサービス業

令和6年の毎月勤労統計調査によると、その他のサービス業の平均月間現金給与額は285,945円であり、前年比2.9%の増加が確認されている。この増加率は全産業平均の2.8%をやや上回る水準であり、業界全体の賃金が安定して上昇していることが分かる。特に、基本給の伸びが給与全体の増加を牽引しており、業界内での待遇改善の動きが進んでいることを示している。

給与の内訳を詳しく見ると、基本給に該当する「きまって支給される給与」は247,682円で、前年比2.5%の増加が見られる。この増加率は他業界と比較すると標準的な水準であり、その他のサービス業の給与水準が安定していることを示している。特に、スポーツ・娯楽施設の運営や宗教・文化関連の事業では、従業員の定着を図るために基本給を引き上げる動きが進んでいると考えられる。一方で、非正規雇用の割合が高い業種も多く、業界全体の給与水準の向上には時間がかかる可能性がある。

また、時間外手当を含む所定外給与は19,040円で、前年比1.2%の減少となった。このデータから、その他のサービス業では時間外労働の削減が進んでいることが分かる。特に、スポーツ施設やイベント運営などでは、営業時間の短縮や業務の効率化が進められており、時間外勤務の機会が減少していることが影響していると考えられる。一方で、業務の性質上、繁忙期やイベント時には労働時間が長くなる傾向があるため、給与総額の変動が大きくなりやすい点が特徴的である。

一方、特別に支払われた給与、いわゆるボーナスに該当する部分は38,263円で、前年比6.2%の増加が記録されている。この増加率は全産業の平均を上回っており、その他のサービス業がボーナス支給を通じて従業員の待遇改善を進めていることを示している。特に、観光業やレジャー施設では、コロナ禍からの回復を背景に業績が改善し、それに伴いボーナスの増額が行われたと考えられる。また、文化・芸術関連の事業では、政府や自治体の支援により業績が回復し、賞与に反映されるケースが増えている。

他業界と比較すると、その他のサービス業の給与水準はやや低めの水準に位置している。例えば、鉱業・採石業(411,892円)、製造業(412,916円)、不動産・物品賃貸業(420,219円)と比較すると、その他のサービス業の285,945円は20~30%ほど低い水準となっている。しかし、ボーナスの増加率が高い点や、業界全体の賃金が安定して上昇している点は、今後の給与改善が期待される要素となる。

採用担当者にとって重要なのは、この給与水準が人材確保にどのような影響を与えるかである。その他のサービス業は、スポーツ施設、レジャー産業、宗教・文化施設など多様な業種を含んでおり、それぞれの業態によって人材確保の課題が異なる。特に、イベント業務やレジャー施設の運営では、繁忙期と閑散期の差が大きく、正社員よりも非正規雇用が多いことが特徴である。そのため、給与面での競争力を高めることに加え、福利厚生の充実や労働環境の改善を進めることが求められる。特に、労働時間の短縮や休日の確保、キャリアアップ制度の導入などが、人材確保において重要なポイントとなる。

また、今後の課題として、労働時間の適正化とワークライフバランスの向上が挙げられる。その他のサービス業は、利用者の需要に応じて業務時間が変動しやすく、繁忙期には長時間労働が発生しやすい業界である。しかし、近年では政府の「働き方改革」や労働基準の厳格化により、労働時間の短縮が求められる中、給与総額の維持が大きな課題となる。採用活動においては、給与の高さだけでなく、労働環境の改善や職場の柔軟性を打ち出すことが、求職者にとって魅力的な要素となる。

今後の展望として、その他のサービス業は観光業の回復や文化・スポーツ分野の活性化により、成長が期待される業界である。特に、インバウンド需要の増加や、エンターテインメント業界の復活により、今後の人材需要が高まると見込まれている。一方で、給与水準の向上は緩やかであり、今後も待遇改善が求められる業界であることに変わりはないため、企業は給与面だけでなく、働きやすい環境づくりを進めることが重要となる。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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