2024年12月19日
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アテルイIII始動!最新スーパーコンピュータが天文学の未来を切り開く新時代
新天文学専用スーパーコンピュータ「アテルイIII」始動!(国立天文台)
2024年12月2日、国立天文台 天文シミュレーションプロジェクトは、新たな天文学専用スーパーコンピュータ「アテルイIII」の運用を開始しました。これは、これまで使用されてきた「アテルイII」の後継機であり、HPE Cray XD2000システムを基盤とした最新のコンピューティング技術が導入されています。この新システムは、岩手県奥州市の国立天文台水沢キャンパスに設置され、これまで以上に高度な天文学的シミュレーションを可能にします。
「アテルイIII」は、総理論演算性能として1.99ペタフロップスという驚異的な処理能力を持ち、計算性能とメモリ性能を最適化した2種類のシステム構成を採用しています。具体的には、メモリバンド幅に特化した「システムM」と、メモリ容量を重視した「システムP」の2つのユニットで構成されており、それぞれが特化した分野で優れた性能を発揮します。「システムM」は、1ノードあたり3.2TB/sというアテルイIIの12.5倍のメモリバンド幅を提供し、高速なデータ処理を可能にします。一方、「システムP」は、1ノードあたり512GBのメモリ容量を備え、アテルイIIの1.3倍の大規模データ処理能力を発揮します。この2つのシステムが連携することで、幅広い天文学的シミュレーションにおいて、アテルイIIと比較して格段に性能が向上しました。
これにより、宇宙の形成、星や惑星の進化、ブラックホールや銀河の挙動など、さまざまな天文学的現象をシミュレーションによって解明することが期待されています。「アテルイIII」は、単なる計算装置ではなく、「理論天文学の実験室」としての役割を果たします。観測によるデータとシミュレーション結果を照らし合わせることで、天文学の新たな知見が得られるでしょう。
このプロジェクトは、日本が世界の天文学研究の最前線に立ち続けるための重要なステップとなります。また、科学の発展だけでなく、計算科学やデータ解析技術の進歩にも寄与するとされています。天文学専用に設計されたスーパーコンピュータとして、「アテルイIII」の稼働開始は、研究者だけでなく科学技術全体にも大きな恩恵をもたらすことでしょう。