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2024年1月16日

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コロナ禍の雇用調整助成金、事業所の半数が業績回復を見込む

雇用調整助成金のコロナ特例の活用等に関する調査結果(労働政策研究・研修機構)

独立行政法人労働政策研究・研修機構によって実施された「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例措置の効果検証に関する研究」の一環として行われた事業所アンケート調査の報告です。この調査は、コロナ禍における雇用調整助成金の特例措置の利用実態とその効果を明らかにすることを目的としています​​。

調査は2023年3月8日から3月27日にかけて実施され、郵送での調査票配布・回収によって行われました​​。対象は、2020年3月から2021年1月までの間に雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金を受給した事業所(受給事業所)と、受給していない事業所(非受給事業所)で、合計15,000の事業所が調査されました​​。有効回答数は5,253件で、有効回収率は35.0%でした​​。

主な調査結果は以下の通りです。

1.受給事業所の約半数が業績回復を見込む
受給事業所の約47.4%が業績回復の見通しを持っており、他方で14.2%は回復しないと回答しました。従業員の不足を感じている事業所も約半数にのぼりました​​。

2.雇用調整の実施状況
2020年に最も多くの事業所が雇用調整を実施し、その後年々減少しています。休業を実施した事業所は全体の約25.7%で、休業の最も多かった月は2020年5月でした​​。

3.従業員に関する課題の認識
雇用調整助成金の受給や休業が長期化した事業所では、従業員のモチベーション低下や生産性低下などの課題を感じる割合が高くなっています​​。

4.教育訓練の実施状況
雇用調整助成金を活用した教育訓練は、全体的に低調で、実施した事業所は約12.2%にとどまりました。特に「2019年+コロナ禍受給」のパターンでは実施割合が高かったことが指摘されています​​。

特例がなかった場合、多くの事業所が休業手当の減額や事業継続の困難、休業規模の縮小、解雇や雇い止め、従業員の自己都合離職の増加などの問題を経験していたことが明らかになりました。これは助成金が多くの事業所にとって重要な役割を果たしていたことを示しています​​。

以上の結果から、コロナ禍における雇用調整助成金の特例措置が、多くの事業所にとって業績回復の見通しを持つ上で重要であったこと、また従業員のモチベーション維持や生産性維持に課題があることが示されています。また、助成金や特例措置がなければ、より多くの事業所が困難な状況に陥っていた可能性が高いことが示唆されています。

「雇用調整助成金のコロナ特例の活用等に関する調査 」 結果(事業所 調査)PDFはこちら

⇒ 詳しくは労働政策研究・研修機構のWEBサイトへ