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2024年12月13日

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コロナ禍後の超過貯蓄、取り崩し率わずか30%未満:日本経済の消費課題を分析

Economic & Social Research No.46 2024年 秋号(内閣府)

2024年秋、経済社会総合研究所が発表した最新の経済財政白書では、日本経済が直面する主要課題を包括的に分析しています。その中でも、個人消費、企業投資、労働市場の動向が特に注目されています。本稿では、特に企業と家計の視点から現状の課題と将来への展望を掘り下げていきます。

個人消費に関しては、2023年以降、名目賃金が物価上昇を追い越しつつある状況が確認されています。特に、2024年春の労使交渉では、賃上げ率が33年ぶりの高水準に達し、実質雇用者報酬の増加が期待されています。しかし、コロナ禍で積み上がった超過貯蓄が日本では限定的にしか取り崩されておらず、将来的な消費活性化には明るい経済展望を伴う政策の推進が不可欠です。

労働市場では、求人倍率が高水準で推移している一方で、職種や地域によるミスマッチが依然として存在しています。特に若年層の労働市場参入を促進するには、雇用条件の改善と柔軟な働き方の導入が鍵となります。一方、高齢者雇用の分野では、マネジメント層としての需要が拡大する中で、定年延長や継続雇用時の賃金低下幅が縮小しています。これらの動きが消費水準の維持に寄与する可能性があり、政策面でのさらなる支援が期待されます。

企業部門では、収益の好調が続く一方で、人手不足が成長の制約として浮上しています。特に、建設業や運輸業では、受注調整を余儀なくされる企業が半数に達しています。この状況を打破するため、ソフトウェア投資など省力化投資が進展しており、これが労働生産性を押し上げる効果を発揮しています。また、企業の現預金残高が主要国中で突出している現状から、投資を経済の好循環に結びつける施策が必要です。

外需面では、サービス収支の改善が見られるものの、デジタル関連輸入の増加が赤字傾向を強めています。一方で、インバウンド需要は水際対策の緩和と円安の影響で大幅に回復しており、観光業を中心とした地域経済の活性化が期待されています。

これらの課題に取り組むためには、政府・企業・個人が連携し、長期的な視野での経済政策の構築が求められます。特に、労働市場のミスマッチ解消、企業投資の促進、消費活性化のための所得政策が鍵となるでしょう。これらを通じて、日本経済が自律的な成長軌道を実現する日が待たれます。

⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ

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