2024年12月31日
労務・人事ニュース
ゴマサバやブリなど6魚種の資源評価結果が公表、令和6年度の現状とは?
令和6年度我が国周辺水域の水産資源に関する評価結果が公表されました(ゴマサバ、ブリ、マサバ、サワラ、マルアジ、ムロアジ類)(水産庁)
令和6年12月20日、水産庁は、国立研究開発法人水産研究・教育機構が実施した令和6年度の水産資源評価結果を公表しました。この評価は、我が国周辺水域における主要な水産資源の適切な保存と管理を目的としたもので、今回はゴマサバ、ブリ、マサバ、サワラ、マルアジ、ムロアジ類の6資源について評価結果が公開されています。
この取り組みは、国立研究開発法人水産研究・教育機構をはじめ、各都道府県の試験研究機関が協力して行う資源調査の一環です。これにより、水産資源の現状把握と適切な管理手法の策定が進められています。今回の評価結果については、対象魚種ごとに現状の資源量や漁業への影響が分析されており、各地域の水産業の持続可能な発展に向けた重要なデータとなっています。
評価結果の詳細は、水産研究・教育機構の公式ウェブサイトで公開されており、漁業関係者や政策担当者だけでなく、広く一般の関心を集めています。この情報は、水産資源の持続可能な利用を支援するため、管理施策の基礎資料としても活用されます。
今回の公表内容は、漁業者や研究者にとっても重要な指標であり、地域ごとの漁獲量の調整や資源保護の施策検討に役立つと期待されています。特に、ゴマサバやブリなどは国内市場でも人気の高い魚種であり、その資源管理が経済や食文化にも直結することから、多方面で注目されています。
詳しい資源評価結果や関連資料については、水産研究・教育機構のウェブサイトで確認できます。興味のある方はぜひご覧ください。
ゴマサバ資源管理の未来を示す詳細評価、2035年までの見通しが明らかに
令和6年12月20日に公表されたゴマサバ(対馬暖流系群)の資源評価結果は、持続可能な漁業の実現に向けた重要なデータを提供しています。この報告は、東シナ海から日本海にかけて分布するゴマサバの生息域、漁獲量の推移、年齢別資源尾数の変動、さらには将来の資源管理方針に関する予測など、多岐にわたる情報を含んでいます。
この評価によると、ゴマサバの漁獲量は年ごとに変動しており、2018年には12.4万トンに達しましたが、2023年には8.2万トンと減少しました。そのうち、日本の漁獲量は3.9万トン、韓国は4.3万トンと報告されています。この減少傾向は、資源の再生産能力や環境要因が影響している可能性があります。また、漁獲物の年齢組成では、0歳と1歳の魚が大半を占め、成熟した2歳以上の魚の割合は比較的少ないことが明らかになりました。
さらに、2023年における資源量は18.2万トンと推定され、2019年に記録した急激な減少から回復してきています。一方で、加入量(0歳魚の資源尾数)は2019年から2020年にかけて低水準にとどまりましたが、2023年には3.5億尾と改善が見られました。このような資源量の回復傾向が続くかどうかは、今後の資源管理施策に大きく依存します。
資源管理において重要視される指標として、最大持続生産量(MSY)に基づく管理基準値が設定されています。この評価では、MSYを実現する親魚量(SBmsy)が9.2万トンと算定されました。2023年の親魚量は7.2万トンで、この基準値を下回っています。また、漁獲圧は長年にわたりMSYを維持する水準を上回る傾向が続いています。こうした状況を踏まえ、持続可能な漁業管理を実現するために、親魚量や漁獲量を目標値に近づけるための具体的な管理規則案が提案されています。
漁獲管理規則案では、β値という調整係数を用いた管理方針が示されており、βを0.8に設定した場合、2025年の平均漁獲量は3.9万トンになると予測されています。また、2035年までに親魚量が目標管理基準値を超える確率は91%とされています。このように、科学的根拠に基づく資源管理の導入が資源の持続性を支える重要な施策となっています。
報告書には、将来予測に基づく漁獲量や親魚量の推移も示されており、現状の漁獲圧を維持した場合には資源量が再び減少に転じる可能性があると警告されています。そのため、β値を0.9以下に設定し、持続可能な漁業を目指すことが推奨されています。
また、この評価結果を基に、日本と韓国を含む関連漁業者や政策立案者が、どのように資源管理を進めるべきかの議論が期待されています。特に、ゴマサバは国内市場でも需要の高い魚種であり、その資源の安定供給は経済や食文化にも直結する課題です。したがって、この報告書が提供するデータは、漁業の長期的な利益を確保するための貴重な指針となるでしょう。
このような資源評価結果を活用することで、漁業者や政策担当者が持続可能な漁業の実現に向けた取り組みを強化し、将来の水産資源の安定供給を確保することが求められます。
参考:ゴマサバ対馬暖流系群
ブリ資源評価結果公開、2035年までの親魚量目標達成率100%の根拠とは
令和6年12月20日に公表されたブリの資源評価結果は、持続可能な漁業の実現に向けた重要なデータを提供しています。この評価は、東シナ海から北海道、さらには朝鮮半島東岸まで広がる分布域を持つブリを対象に、資源量や漁獲量、将来予測などを詳細に分析したものです。
報告書によれば、ブリの漁獲量は2010年に急増し、2014年には13.6万トン(うち日本12.5万トン)に達しました。しかし、その後は若干の減少を見せ、2023年には11.4万トン(日本8.8万トン、韓国2.5万トン)に落ち着いています。この変動は、環境要因や資源の自然増減が影響していると考えられます。
年齢別の漁獲尾数では、主に0歳(後期)および1歳魚が全体の7~9割を占める構成となっています。特に、2023年の0歳魚(後期)の漁獲尾数は0.2億尾と推定され、資源の再生産能力に課題があることが示唆されています。一方で、親魚量は2023年には20.5万トンと1994年以降で最高水準を記録しました。これは、資源管理施策や環境条件が改善された結果とみられています。
資源量全体としては、2008年まで14.1万~22.4万トンで推移していたものが、2009年以降増加傾向を示し、2017年には36.6万トンとピークを迎えました。その後、若干の減少を経て2023年には34.6万トンとなりました。この資源量の安定は、適切な管理施策が持続されている証といえます。
さらに、最大持続生産量(MSY)を基にした管理基準値が策定されています。MSYを実現する親魚量(SBmsy)は22.2万トンと算定され、2023年の親魚量20.5万トンはこれを下回っています。また、漁獲圧(F)は2021年を除き、長年にわたってMSYを維持するための水準を上回っていることが指摘されています。これを踏まえ、持続可能な漁業を実現するためには、漁獲圧の調整が不可欠とされています。
将来予測では、漁獲管理規則案が提案されており、β値を0.8に設定した場合、2025年の平均漁獲量は8.0万トン、2035年には親魚量が目標管理基準値を100%の確率で上回るとされています。このような予測は、科学的根拠に基づいた資源管理が持続可能な漁業の鍵となることを示しています。
この評価結果は、日本と韓国を含む漁業者や政策立案者にとって、将来の漁業管理方針を策定する上で不可欠な情報となっています。特に、ブリは国内外で人気のある魚種であり、その資源管理が経済や食文化に与える影響は計り知れません。そのため、この報告が提供する科学的な知見は、持続可能な漁業の実現に向けた重要なステップとなるでしょう。
参考:ブリ
マサバ資源評価結果公表、2035年の親魚量目標達成率94%の鍵となる管理施策とは
令和6年12月20日に公表されたマサバ(対馬暖流系群)の資源評価結果は、持続可能な漁業管理に向けた科学的基盤を提供するものです。本報告では、漁獲量や資源量の推移、年齢別資源構成、将来の予測など、多岐にわたる分析結果が示されています。
マサバは、東シナ海南部から日本海北部、さらに黄海まで広く分布しています。1970年代から1980年代にかけて漁獲量は安定していましたが、その後減少傾向をたどり、1996年に急増した後、再び減少しました。2000年代以降は横ばいで推移しており、2023年の総漁獲量は22.2万トンで、そのうち日本が10.2万トン、韓国が12.0万トンを占めています。このデータは、漁業管理における国際協力の重要性を示しています。
漁獲物の年齢構成を分析すると、0歳と1歳の若齢魚が全体の大部分を占めています。2歳以上の魚の割合は少なく、資源の若齢化が懸念されています。このような状況は、将来的な資源維持のために漁獲圧の調整が必要であることを示唆しています。
2023年の資源量は71.4万トンと推定され、2019年の低加入による50.5万トンから回復しました。また、親魚量は直近5年間で増加傾向を示しており、2023年には27.9万トンに達しました。加入量(0歳の資源尾数)も2019年には10.9億尾と低水準でしたが、その後増加し、2023年には15.6億尾と回復が見られました。これらのデータは、資源の安定的な回復を支えるための管理施策の効果を示しています。
資源管理における重要な指標として、最大持続生産量(MSY)を実現する親魚量(SBmsy)が算定されており、2023年の親魚量は27.9万トンで、目標の33.0万トンを下回っています。また、漁獲圧は2023年にはFmsy(MSYを維持するための漁獲圧)を下回りましたが、過去にはFmsyを上回ることが多く見られ、これが資源量の低下を引き起こした要因とされています。これを受け、漁獲管理規則案では、漁獲圧を調整するためにβ値を0.8に設定した場合のシナリオが提示されています。このシナリオでは、2035年に親魚量が目標管理基準値を94%の確率で上回ると予測されています。
将来予測に基づく管理規則案では、βを調整することで親魚量の安定を図ると同時に、漁獲量を最大持続生産量に近づけることが可能であるとされています。例えば、2025年には漁獲量を22.0万トンとし、2035年には目標親魚量を超える確率が高まるよう調整が進められる見通しです。これにより、資源の持続可能性と漁業の経済的利益の両立が期待されています。
本報告は、マサバ資源の長期的な管理に必要な科学的根拠を提供するものであり、国内外の漁業者や政策立案者にとって重要な参考資料となっています。特に、マサバは国内外で重要な水産資源であり、その管理が地域経済や食文化に与える影響は極めて大きいといえます。本報告が示す科学的知見は、資源管理のさらなる改善を支えるものとなるでしょう。
参考:マサバ対馬暖流系群
サワラ資源評価結果、2025年算定漁獲量7,600トン
令和6年12月20日に公表されたサワラ(日本海・東シナ海系群)の資源評価結果は、持続可能な漁業管理における指針として重要な情報を提供しています。この報告では、サワラの資源量の推移、漁獲量、漁業管理方針について詳細に分析されています。
サワラは、東シナ海から黄海、さらに日本海にかけて広く分布しています。日本海では定置網、東シナ海では主に大中型まき網による漁獲が行われています。1980年代には漁獲量が高い水準にありましたが、1990年代に急減し、その後は安定した推移を見せています。2023年の我が国における漁獲量は6,600トンと報告されています。
資源量指標値は1994年から2004年まで低水準で推移しましたが、2005年以降は増減を繰り返しながらも高水準を維持しています。2023年の資源量指標値は1.05であり、これに基づく資源水準は63.2%と評価されています。この値は目標管理基準値(80%)を下回るものの、限界管理基準値(56%)を上回っています。これにより、資源の持続可能性を維持しながら漁獲量を調整する必要性が示唆されています。
本報告では、2025年の算定漁獲量も示されており、過去5年間(2019年から2023年)の平均漁獲量(8,288トン)に基づき、2023年の資源水準から算定された漁獲量調整係数(0.92)を適用した結果、7,600トンが提案されています。これは資源量の維持と持続可能な利用を目指すための具体的な施策の一環です。
さらに、漁業管理規則案では、資源水準に応じた漁獲量の増減を調整する係数が提案されています。資源水準が目標管理基準値を上回る場合には漁獲量を増加させ、下回る場合には減少させることで、資源の持続可能な利用を実現する方針です。この規則案に基づき、将来的には資源水準を目標値に近づけることが期待されています。
この評価結果は、サワラ資源の持続可能性を確保するために、科学的な根拠に基づいた漁業管理が必要であることを明確に示しています。また、漁業者や政策立案者にとって、将来の資源管理計画を策定する際の重要な指針となる情報を提供しています。特に、漁獲量と資源量のバランスを適切に保つことが、サワラ資源の長期的な安定供給を可能にする鍵となるでしょう。
サワラは、日本国内外で需要が高く、地域経済や食文化において重要な位置を占める魚種です。このため、本報告に基づく科学的な資源管理施策は、サワラ資源の保護と持続可能な利用を両立するための重要な一歩といえます。
参考:サワラ日本海・東シナ海系群
マルアジ資源評価結果公表、2025年の算定漁獲量4,293トンへ
令和6年12月20日に公表されたマルアジ(日本海西・東シナ海系群)の資源評価結果は、持続可能な漁業管理の基礎となる科学的データを提供しています。この報告では、資源量指標値、漁獲量の推移、漁獲管理方針などが詳細に分析されています。
マルアジは日本海西部から東シナ海にかけて広く分布し、季節的な南北移動を行うと考えられています。この系群は東シナ海で操業する大中型まき網と長崎県沿岸で操業する中・小型まき網によって漁獲されています。1993年以降の漁獲量データに基づき、2023年の漁獲量は4,479トンと報告されています。この数値は2002年のピーク時(1.3万トン)以降の減少傾向を反映しており、資源管理が求められる現状を示しています。
資源量指標値は、標準化された漁獲努力量(CPUE)に基づいて算出されます。2023年の資源量指標値は2.60で、目標管理基準値案(1.42)を大きく上回り、資源水準は99.9%と評価されています。これはマルアジ資源が非常に良好な状態にあることを示しており、持続可能な利用が可能であるとされています。
資源管理の一環として、漁獲管理規則案では、資源水準に応じた漁獲量の増減を調整する係数が提案されています。2023年の資源水準(99.9%)に基づき、漁獲量を増加させる係数は1.10と設定されています。この係数を用いて、直近5年間(2019年から2023年)の平均漁獲量(3,887トン)を調整し、2025年の算定漁獲量は4,293トンと見積もられています。
また、資源管理方針としては、目標管理基準値を80%水準、限界管理基準値を56%水準と設定しています。これにより、資源が目標水準を上回る場合には漁獲量を増加させ、限界水準を下回る場合には削減する仕組みが整備されています。2023年の資源量指標値が目標管理基準値を超えていることから、当面は資源の安定的利用が期待されています。
この評価結果は、マルアジ資源の持続可能な利用を確保するために、科学的な根拠に基づいた管理施策が必要であることを示しています。特に、資源量が良好な状態にある現在、適切な漁獲圧を維持しつつ、長期的な安定供給を目指すことが求められます。
マルアジは国内外で重要な水産資源であり、その資源管理が地域経済や食文化に与える影響は大きいといえます。この報告に基づく科学的な知見は、漁業者や政策立案者が持続可能な漁業を実現するための重要な指針となるでしょう。
参考:マルアジ日本海西・東シナ海系群
ムロアジ資源評価結果公表、2025年算定漁獲量3,565トン
令和6年12月20日に公表されたムロアジ類(東シナ海)の資源評価結果は、持続可能な漁業管理を目指す科学的基盤を提供する重要な資料です。本報告では、資源量指標値、漁獲量の推移、漁獲管理方針の詳細が明らかにされています。
ムロアジ類は東シナ海に分布し、種によって生息域が異なります。アカアジとオアカムロは北緯30度以南の大陸棚縁辺部に、ムロアジとクサヤモロは暖流の影響が強い島や礁の周辺に生息しています。これらの種は大中型まき網および中・小型まき網を用いた漁業によって漁獲されます。
1993年以降の漁獲量データに基づくと、2003年には1.1万トンと高水準に達しましたが、その後は減少し、2015年以降は横ばいで推移しています。2023年の漁獲量は3,802トンで、直近5年間の平均漁獲量(3,870トン)と同水準にあります。この漁獲量は資源量指標値と密接に関連しており、2023年の資源量指標値は1.04で、資源水準は63.6%と評価されています。
資源量指標値は、大中型まき網と中・小型まき網の標準化された漁獲努力量(CPUE)を基に算出され、資源の健全性を測る重要な指標となっています。2023年の資源水準は目標管理基準値(80%水準)を下回る一方、限界管理基準値(56%水準)を上回っており、持続可能性を維持するために注意深い管理が求められています。
本報告に基づき、漁獲管理規則案では、資源水準に応じて漁獲量を調整するための係数が提案されています。2023年の資源水準(63.6%)に対応する係数は0.92であり、これを直近5年間の平均漁獲量に適用した結果、2025年の算定漁獲量は3,565トンと見積もられています。この算定漁獲量は、資源の持続可能性を確保しつつ漁業者の利益を最大化するためのバランスを考慮したものです。
また、目標管理基準値と限界管理基準値は、それぞれ資源の健全性を維持するための指標として設定されており、資源水準が目標を上回る場合には漁獲量の増加が許可され、下回る場合には削減が推奨されます。2023年の評価では資源水準が目標値を下回っているため、慎重な漁獲圧の調整が必要とされています。
この評価結果は、ムロアジ類の資源管理において科学的根拠に基づいた施策が不可欠であることを示しています。特に、資源量の増減が地域経済や漁業コミュニティに与える影響を考慮すると、持続可能な管理が極めて重要です。ムロアジ類は東シナ海の生態系だけでなく、沿岸地域の経済や食文化にも大きく貢献しているため、この評価結果が提供する科学的知見は、政策立案者や漁業者にとって不可欠な指針となるでしょう。
参考:ムロアジ類東シナ海
⇒ 詳しくは水産庁のWEBサイトへ