2024年11月18日
労務・人事ニュース
サプライチェーン支援の一環、11月1日からのひな形改正でパートナーシップを強化
パートナーシップ構築宣言のひな形を改正しました(令和6年11月1日改正)(経産省)
経済産業省は、2024年11月1日、「パートナーシップ構築宣言」の改正ひな形を発表しました。これは、サプライチェーンにおける中小企業と大企業の関係改善を図る取り組みの一環で、取引の透明性や公正性を高め、共存共栄のビジネス関係を促進することを目的としています。企業が宣言を行う際に参考とする「ひな形」には、これまでも下請中小企業振興法に基づく指針が盛り込まれていましたが、今回の改正では特に支払条件に関する明確な変更が加えられています。
今回の改正の要点は、親事業者(取引の元請企業)が下請事業者(取引の発注企業)に対して支払う代金について、手形や現金などの支払条件を定めた文言を見直した点にあります。従来は「下請代金は可能な限り現金で支払うよう努める」および「手形で支払う場合には支払サイト(支払期限)を60日以内とするよう努める」という表現が使用されていました。改正後は、「下請代金は可能な限り現金で支払う」方針を維持しつつ、「手形などで支払う場合の支払サイトを60日以内とする」という規定が義務的に盛り込まれ、従来の努力義務から法的義務へと強化されました。
この改正は、経済産業省が推進する中小企業支援の一環であり、2024年11月1日から施行された新たな「振興基準」に基づいています。下請中小企業振興法の改正により、サプライチェーン内での取引条件の見直しが求められており、特に下請代金の支払期間については業種を問わず60日以内とすることが明確に規定されました。この基準は、支払いサイトを短縮することで、下請事業者のキャッシュフローの改善を図るものです。中小企業は、取引先の支払期間が長い場合、運転資金の不足や資金繰りの問題に直面することが多いため、こうした基準の強化は下請企業にとって大きな支援となります。
さらに、経済産業省は、今回のひな形改正に伴い、すでにパートナーシップ構築宣言を行っている企業に対しては新しいひな形での宣言の更新を推奨し、未宣言の企業には新規宣言の実施を奨励しています。宣言を公表することで、企業はサプライチェーンにおける共存共栄の姿勢を示し、社会的信頼の向上にもつながります。とりわけ中小企業にとっては、公正な取引条件のもとで安定した事業運営が可能になることから、取引先との関係改善が期待されています。
経済産業省はまた、改正ひな形での宣言更新や新規宣言の周知活動を強化する方針です。具体的には、関係府省庁と協力し、パートナーシップ構築宣言を公表しているすべての企業に向けてメールを通じた通知を行うほか、業界団体と連携して、各団体の会員企業へ向けての周知を進めます。このような取り組みを通じて、経済産業省はサプライチェーン全体での公正な取引環境の整備と、中小企業の成長を支える基盤の構築に注力しています。
改正ひな形の適用によって、企業間の取引における支払条件がより一層明確化され、中小企業の経営に安定がもたらされることが期待されています。今後、さらなる支援措置や取引改善のガイドラインの整備が行われる可能性もあり、企業や団体の参加によるパートナーシップ構築宣言の意義が改めて高まっています。取引条件が整備され、透明性が確保されたサプライチェーンの形成に向けたこうした取り組みは、将来的な経済成長の基盤強化にもつながるでしょう。
⇒ 詳しくは経済産業省のWEBサイトへ