2024年11月17日
労務・人事ニュース
サービス産業売上が33.0兆円に!前年比2.4%増の最新調査発表
「サービス産業動向調査」2024年(令和6年)8月分(速報)(総務省)
2024年8月、総務省統計局が発表した「サービス産業動向調査」によると、日本のサービス産業全体の月間売上高は33.0兆円を記録し、前年同月比で2.4%の増加となりました。特に「学術研究、専門・技術サービス業」と「生活関連サービス業、娯楽業」の分野が顕著な伸びを示しており、各業界の需要回復が伺えます。また、サービス業全体の事業従事者数は2,980万人と前年同月比で0.3%増加しており、緩やかながらも労働市場の回復基調が続いています。
サービス産業の中でも、特に「学術研究、専門・技術サービス業」では売上高が2.6兆円に達し、前年同月比で4.9%増加しました。同様に「生活関連サービス業、娯楽業」も4.0兆円の売上を記録し、前年比4.7%増と高い成長率を示しています。これらの分野では、コロナ禍からの需要回復や、デジタル化を背景とした新たなサービス需要の拡大が影響していると考えられます。一方、「教育、学習支援業」は0.3兆円と前年同月比で3.3%の減少を見せており、少子化の影響が一部で表れている可能性もあります。
売上高の増加率の観点からは、「広告業」の成長が目覚ましく、前年同月比10.3%増の高い伸びを示しました。また、「インターネット付随サービス業」も5.6%の成長を記録しており、デジタルマーケティングやeコマースの発展が売上に寄与していることがわかります。他にも「情報サービス業」が4.6%増と堅調に推移しており、情報通信関連分野での成長が続いています。一方で、「映像・音声・文字情報制作業」は前年同月比で0.3%減少しており、一部で消費者需要の変化やメディア利用の多様化が影響していると考えられます。
また、従事者数に関しては、「情報通信業」が前年同月比1.8%増の217万人に達し、デジタル関連産業の人材需要が依然として高い状況です。「学術研究、専門・技術サービス業」も0.9%増加し、182万人が従事している一方、「教育、学習支援業」は1.4%の減少で99万人、「生活関連サービス業、娯楽業」も0.7%減の237万人と、他分野における従事者数の減少傾向が見られます。特に教育分野での人材減少は少子化の進行や、オンライン教育の普及が一因と考えられています。
具体的な産業別売上において、「運輸業、郵便業」は5.27兆円で前年同月比2.0%増となり、交通需要の回復や物流の需要拡大が反映されています。特に、「水運業」は3.8%増加し、物流の国際化やインフラ需要の高まりが影響しています。また、「不動産業、物品賃貸業」は前年同月比3.1%増の4.17兆円と、引き続き不動産市場の活況がうかがえます。「宿泊業、飲食サービス業」も堅調で、2.8兆円の売上を記録し、前年同月比で2.3%の増加です。これは観光業の復活や国内外からの旅行需要の拡大が寄与していると考えられます。
加えて、医療、福祉分野では売上高が5.2兆円と安定的で、前年同月比0.0%と横ばいとなっています。福祉関連の需要は依然として高く、少子高齢化社会における不可欠な産業として位置づけられているため、今後もこの分野の安定的な成長が見込まれます。宿泊や飲食、医療など、生活に密着したサービス業では引き続き高い需要が見られる一方、教育や一部の娯楽サービスでは成長に陰りが出ている状況です。
全体として、サービス産業の成長率は、2023年の一部の高い成長率からは低下しているものの、依然として安定的な推移を見せています。8月の月間売上高の前年同月比増加率は2.4%で、前月の4.0%増からは1.6ポイントの低下が見られました。この要因には、特定の産業の成長鈍化や一部の季節要因があると推測されます。サービス業界は回復基調が続いているものの、成長速度には波があることから、企業は戦略的な柔軟性が求められています。特にデジタル化やグローバル化を背景にした新たなサービス需要の取り込みが、今後の成長を支える重要な要素となるでしょう。
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