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2024年9月27日

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シニア人材の割合が25.2%に急増!従業員20人以下の企業では32.8%が60歳以上の労働者

「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」 の集計結果について ~中小企業の約6割が外部シニア人材の受入れに前向き~(日本商工会議所)

2024年9月5日、日本商工会議所と東京商工会議所が共同で発表した調査結果は、中小企業における人手不足の深刻な状況と、その対策の実態について重要な示唆を与えています。この調査は全国47都道府県の2,392社を対象に、2024年7月8日から7月31日にかけて実施されました。その結果、人手不足が依然として深刻であることが浮き彫りになりました。

回答企業の63.0%が「人手が不足している」との認識を示しており、その中でも運輸業や建設業は約8割が人手不足を訴えています。さらに、回答企業の65.5%が「非常に深刻(廃業のおそれ)」または「深刻(事業継続に支障が出るおそれ)」と答えており、特に運輸業や建設業などでは、事業運営に深刻な影響を及ぼしていることがわかります。このような状況は、少子高齢化や「2024年問題」と呼ばれる労働力不足に起因する構造的な問題が背景にあります。

人手不足に対して中小企業が取り組んでいる対策として最も多いのは、「採用活動の強化」であり、78.4%の企業がこれを実施しています。特に非正規雇用を含めた採用活動が活発に行われていることが特徴的です。しかし、採用活動以外の対策、例えば生産性の向上や多様な人材の活用については、約3割から4割の企業にとどまっており、抜本的な改善が進んでいないことが伺えます。特に「女性」「シニア」「外国人材」といった多様な人材の活用が課題となっています。

シニア人材の活用に関しては、60歳以上のシニアが全体の3割以上を占める企業が全体の25.2%に達しており、特に従業員規模が20人以下の企業では32.8%と高い割合を示しています。法定下限の60歳を超える定年制度を設けている企業は全体の52.2%に達しており、特に中小企業では定年後も引き続き雇用を継続する傾向が強いことが明らかになっています。また、企業の63.2%が義務の65歳を超える継続雇用措置を講じており、シニア人材の雇用継続が中小企業においても広がっています。

外部シニア人材の受け入れに関しては、25.5%の企業が既に受け入れを行っており、さらに35.2%の企業が「適当な人材がいれば受け入れたい」と答えています。これにより、約6割の企業がシニア人材の受け入れに対して前向きな姿勢を示していることがわかります。特に介護・看護業では55.5%の企業が外部シニア人材を受け入れており、運輸業や宿泊・飲食業でも4割近い企業が同様の状況です。

女性の活躍推進についても重要な課題が残されています。調査結果では、企業の82.3%が女性のキャリアアップ支援の必要性を感じているものの、実際に取り組んでいる企業は36.0%にとどまっています。また、46.3%の企業が「十分に取り組めていない」と答えており、特に規模の小さい企業ほどこの割合が高くなる傾向にあります。キャリアアップ支援の課題としては、「育成のための仕組みやノウハウが不足している」(48.4%)、「本人が現状以上の活躍を望まない」(45.7%)という声が多く挙がっています。これらの問題を解決するためには、女性のキャリアアップに対する具体的な支援策や、働き方の柔軟性を高める施策が求められます。

さらに、仕事と育児の両立支援についても重要な問題です。企業の80.6%がその必要性を感じている一方で、実際に取り組んでいる企業は46.2%にとどまっており、34.4%の企業が「十分に取り組めていない」と回答しています。特に20人以下の企業では、両立支援の取り組みが進んでいないことが課題となっており、小規模企業におけるさらなる支援が必要とされています。

外国人材の活用については、24.6%の企業が「既に受け入れている」と回答しており、「今後受け入れる予定」や「検討中」を含めると51.6%の企業が外国人材の受け入れに前向きです。特に宿泊・飲食業や製造業では4割前後の企業が外国人材を受け入れており、運輸業や介護・看護業でも受け入れに対する高いニーズが見られます。

障害者雇用に関しては、法定雇用率の達成が大きな課題となっています。2024年4月以降の法定雇用率引き上げに対応している企業は44.9%にとどまり、従業員規模が小さい企業ほど対応が遅れている傾向にあります。特に40人から50人以下の企業では約2割が「引き上げを知らなかった」と回答しており、法定雇用率の周知徹底が必要です。また、障害者に対する「合理的配慮の提供」の義務化に対応している企業は26.4%にとどまり、特に20人以下の企業では半数近くが義務化を知らない状況にあります。

これらの調査結果から明らかになったのは、中小企業における人手不足や多様な人材の活用に対する課題の大きさです。特に、シニア人材や女性、外国人材、障害者の活躍推進が鍵となっており、企業がこれらの人材をどのように活用していくかが、今後の労働市場の動向を大きく左右するでしょう。

⇒ 詳しくは日本商工会議所のWEBサイトへ

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