2025年2月21日
労務・人事ニュース
パート労働者の時給が1,344円に上昇!正社員との待遇格差をどう埋めるか(毎月勤労統計調査 令和6年分結果速報)
毎月勤労統計調査 令和6年分結果速報(厚労省)
令和6年の毎月勤労統計調査の速報によると、日本の給与水準は大きな変化を遂げている。特に、現金給与総額の増加率が2.9%となり、これは33年ぶりの高い伸びである。30人以上の事業所に限ると、給与の伸び率はさらに高く3.3%に達した。これに伴い、定期的に支給される給与も前年比2.0%増加し、所定内給与の伸び率も2.1%と好調を維持している。また、ボーナスなどの特別に支払われた給与は6.9%の増加を記録し、過去最高の伸びとなった。企業の採用担当者にとって、これらの数値は採用戦略の見直しを迫る重要な要素となる。
特に、一般労働者に焦点を当てると、現金給与総額は前年比3.2%増の45万3,445円となり、こちらも過去最高の伸びを見せた。さらに、所定内給与も2.4%増加し、安定した昇給傾向が続いている。一方、パートタイム労働者の時間当たり給与も前年比4.3%増の1,344円に達し、これも過去最高の伸び率である。これらのデータは、企業が人材確保のためにより高い賃金を提示する必要があることを示唆している。
しかし、名目賃金の上昇にもかかわらず、実質賃金指数は99.4と前年より0.2%減少している。これは、消費者物価指数が前年比3.2%上昇したことが影響している。特に、30人以上の事業所では実質賃金指数が99.0と若干の増加を示したものの、依然として賃金の購買力は低下傾向にある。この状況は、企業が従業員の生活水準を維持するために、さらなる給与引き上げや福利厚生の充実を検討する必要があることを示唆している。
企業の採用担当者にとって、この統計結果は重要な意味を持つ。まず、労働市場における賃金水準が上昇しているため、採用時の給与設定がよりシビアになる可能性が高い。特に、特別給与の伸び率が高いことから、ボーナスやインセンティブ制度の見直しが必要となるだろう。また、パートタイム労働者の給与が急上昇しているため、正社員とパートの待遇差をどのように調整するかが課題となる。
さらに、企業の採用戦略において、実質賃金の低下が影響を及ぼす可能性がある。従業員の購買力が低下すれば、福利厚生や手当の充実が求められ、これに対応できない企業は優秀な人材を確保するのが難しくなる。特に、大企業と中小企業の間で給与水準の格差が広がれば、中小企業は人材確保のために給与以外の魅力を打ち出す必要がある。
これらのデータを基に、企業の採用戦略を再考する必要がある。例えば、新卒採用においては、給与の初任給引き上げを検討することで、より優秀な学生を確保しやすくなる。また、中途採用においても、他社と比較して競争力のある給与水準を設定することが重要となる。さらに、給与以外の魅力として、キャリアアップの機会やリモートワーク制度、ワークライフバランスを充実させる施策を導入することが求められる。
特に、パートタイム労働者の給与が急上昇している現状では、企業は正社員とパートの賃金バランスをどのように保つかが重要な課題となる。これに対応するためには、職務の明確化や評価制度の見直しが求められる。例えば、スキルや経験に応じた給与体系を整備し、従業員のモチベーションを向上させる仕組みを構築することが有効である。
一方で、企業のコスト管理も重要なポイントとなる。給与水準が上昇する中で、企業の利益を確保するためには、生産性の向上が不可欠である。これには、デジタル化や自動化の推進、人材の適正配置などが求められる。また、業務の効率化を図ることで、労働時間を短縮しながらも高い給与を支払うことが可能となる。
企業がこれからの採用戦略を成功させるためには、給与の引き上げだけでなく、従業員が働きやすい環境を整えることが重要である。特に、柔軟な働き方の導入や、キャリアアップの機会を提供することで、従業員の満足度を高めることができる。こうした取り組みを進めることで、企業は優秀な人材を確保し、持続的な成長を遂げることが可能となる。
最後に、今回の統計結果を受けて、企業の採用担当者は、現在の労働市場のトレンドをしっかりと把握し、賃金水準の変化に柔軟に対応する必要がある。特に、給与水準が上昇している今こそ、企業の魅力を最大限に引き出し、優秀な人材の確保に努めることが求められる。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ