2025年2月21日
労務・人事ニュース
パート時給1,380円に上昇!42か月連続プラスで非正規雇用の待遇改善進む(毎月勤労統計調査 令和6年12月分結果速報)
毎月勤労統計調査 令和6年12月分結果速報(厚労省)
令和6年12月の毎月勤労統計調査の速報が発表され、全国の企業における賃金動向が明らかになった。今回の調査では、現金給与総額が前年同月比で4.8%増加し、36か月連続でプラスを記録したことが分かった。特に、従業員30人以上の事業所では5.1%の増加を見せ、27年11か月ぶりの高い伸び率となった。こうした傾向は、企業の賃上げが継続的に進んでいることを示しており、雇用市場全体の動向に大きな影響を与えると考えられる。
きまって支給される給与は285,662円となり、前年同月比2.5%増で38か月連続のプラスとなった。また、所定内給与は265,303円で2.7%増加し、これは32年1か月ぶりの高い伸び率である。特別に支払われた給与も333,918円で6.8%増となり、企業が従業員の待遇改善に積極的に取り組んでいる様子がうかがえる。
一般労働者に限定すると、現金給与総額は838,606円で4.9%増となり、45か月連続でプラスを記録した。所定内給与も336,077円で2.6%増加し、47か月連続のプラスが続いている。これは、長期間にわたる賃金上昇の傾向が確立されつつあることを示している。
一方で、パートタイム労働者の給与も上昇傾向にある。時間当たりの所定内給与は1,380円となり、前年同月比4.9%増で42か月連続のプラスを維持している。これは、企業が非正規雇用の待遇改善にも取り組んでいることを示すものであり、労働市場全体の安定化につながると考えられる。
実質賃金指数についても、改善の兆しが見られる。現金給与総額の実質賃金指数(令和2年平均=100)は173.0となり、0.6%増加した。特に、従業員30人以上の事業所では181.0となり、0.9%の上昇を記録している。これにより、実質賃金が2か月連続でプラスとなった。なお、参考値として発表された消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)は前年同月比4.2%上昇しており、依然としてインフレ傾向が続いていることがわかる。
企業の採用担当者にとって、こうした賃金上昇の動向は重要なポイントとなる。従業員の待遇改善が進む中、他社との競争に勝つためには、より魅力的な給与水準の設定や福利厚生の充実が求められる。特に、一般労働者の給与上昇率が高いことを踏まえると、採用時の給与設定にも慎重な判断が必要となるだろう。
また、パートタイム労働者の待遇改善も進んでいることから、非正規雇用の活用を検討している企業は、報酬水準を見直す必要がある。パートタイム労働者の時間当たり給与が1,380円に達していることを考慮すると、企業側が提供する給与が市場相場に見合っているかどうかの再評価が必要となる。特に、小売業や飲食業など、パートタイム労働者を多く雇用する業界では、賃金の上昇が採用活動に影響を及ぼす可能性が高い。
さらに、実質賃金の上昇は労働者の購買力向上につながるため、消費の拡大にも期待が寄せられる。企業の業績向上にもプラスの影響を与える可能性があるが、一方でインフレの進行が続いている点には注意が必要だ。消費者物価指数が4.2%上昇しているため、実質的な生活水準の向上には課題が残る。
今後の展望として、企業が従業員の賃金水準を維持・向上させることができるかどうかが鍵となる。経済の回復が進む中、採用市場はますます競争が激化すると予測される。優秀な人材を確保するためには、給与水準の引き上げや職場環境の改善が欠かせない。特に、大手企業が積極的に賃上げを実施する中で、中小企業も従業員の待遇改善に取り組むことが求められるだろう。
企業の採用戦略としては、給与だけでなく、ワークライフバランスの改善やリモートワークの導入、福利厚生の充実など、多様な要素を考慮することが重要になる。賃金の上昇が続く状況では、従業員にとっての総合的な働きやすさが、採用競争における大きな差別化要因となる。
こうした背景を踏まえ、企業は今後も労働市場の動向を注視しながら、柔軟な対応を求められることになる。令和6年12月の統計結果は、賃上げの動向を示す重要な指標であり、企業の採用戦略に大きな影響を与えることが予想される。これからの採用活動においては、市場の変化に適応し、優秀な人材の確保に向けた具体的な施策を講じることが不可欠だ。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ