2024年8月16日
労務・人事ニュース
フリーランスの46.6%が仕事上のトラブルを経験、クリエイティブ関連では69.0%に達する
フリーランスとして働く人の意識・実態調査2024[2024年8月5日掲載](連合)
2024年のフリーランスとして働く人々の実態調査に基づく報告書には、フリーランスの現状や直面している課題が詳細に記載されています。この調査は、全国の20歳以上のフリーランス1,000名を対象に行われ、物価上昇や労働環境の変化がフリーランスに与える影響について掘り下げた内容となっています。
調査によると、物価上昇がフリーランスの業務コストに影響を及ぼしているとの回答が約50%に達しました。しかし、報酬の変化については、約75%が「変わらない」と答え、14.6%が「引き下げられた」と回答しています。これにより、コスト上昇分を適切に転嫁できていない実態が浮き彫りになっています。また、仕事内容や質、労働時間に対する満足度は半数を超えていますが、収入に関しては満足していると答えたのはわずか26.3%にとどまりました。
さらに、フリーランスとしての将来に対する展望についても触れられており、若い世代での展望が大きく下降していることが指摘されています。20代では13.5ポイント、30代では14.7ポイント、40代では13.2ポイントも下降しており、特に40代以下の世代で将来に対する不安が顕著に現れています。
仕事上のトラブル経験についても46.6%のフリーランスが経験があると回答しており、特にクリエイティブ関連では69.0%と高い割合を示しています。トラブルの内容としては、「不当に低い報酬額の決定」や「報酬の支払いの遅延」が上位に挙げられており、これらの問題がフリーランスの労働環境を厳しいものにしています。
仕事中や通勤途中のケガや病気の経験に関しても、20.0%のフリーランスが休業を余儀なくされたことがあると回答しています。特に営業・販売関連では30.2%と高い割合を示しており、これらのフリーランスにとって労災保険の特別加入制度の利用が重要なセーフティネットとなっています。
このような背景から、フリーランスの働きやすさを向上させるために必要とされる施策として、「フリーランスの立場や権利を守る法律の整備」や「福利厚生の拡充」が求められています。特に、法律の整備が40.0%と最も高く、続いて福利厚生が33.1%、所得の補償制度が25.3%と続いています。フリーランスとしての将来を支えるためには、これらの課題に対する具体的な対策が急務であることが示されています。
また、2024年11月1日からは、労災保険の特別加入制度がフリーランスにも適用されることが予定されており、これによりフリーランスが安心して働ける環境が整備されることが期待されています。しかし、現時点ではこの制度の認知度が低く、普及が課題とされています。調査結果では、利用意向率は20.4%にとどまり、制度について「よくわからない」という理由が31.1%で最も多いことが明らかになっています。
この調査結果を受けて、フリーランスがより働きやすい環境を構築するための法的整備や制度の普及が必要不可欠であるとされています。特に、若い世代やクリエイティブ業界のフリーランスにとって、安定した労働環境を提供することが今後の課題として浮き彫りになっています。
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