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2024年11月28日

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フルフラット座席高速バス、900kg耐久の転落防止策で新安全基準導入

「フルフラット座席を備える高速バスの安全性に関するガイドライン」の公表 ~高速バス等のフルフラット座席の安全対策~(国交省)

令和6年11月19日、国土交通省物流・自動車局車両基準・国際課より、高速バスに導入されるフルフラット座席の安全性向上を目的とした新たなガイドラインが発表されました。このガイドラインは、深夜移動の需要が高まる中で、高速バスの安全対策を強化するために策定されたもので、乗客の安全確保を最優先に考えた設計基準を盛り込んでいます。

主な内容として、フルフラット座席を備える高速バスの設計においては、座席を前向きに配置することが義務付けられています。これは、衝突時の乗客の頭部や頸部を保護するためのもので、安全性を高める工夫が求められています。また、座席前部に900kgの力に耐えられる転落防止プレートや衝撃吸収材を設置することで、衝突や急旋回時の転落リスクを軽減する設計が必要です。これに加え、座席側面や頭部に保護部材を設けることで、さらなる安全性を確保しています。

特筆すべきは、座席ベルトの仕様についても具体的な指針が示されている点です。ガイドラインでは、3点式座席ベルトが乗客の頸部に圧迫を与える可能性を考慮し、2点式座席ベルトの導入が推奨されています。これにより、乗客が座席から放出されるリスクを低減しつつ、快適性も確保する設計となっています。

さらに、ガイドラインでは非常時の安全性確保にも重点が置かれています。脱出経路の動線確保や手順表示、乗客の手荷物を安全に収納できるスペースの確保、補助が必要な乗客への事前案内など、細部にわたり配慮されています。これらの対策は、高速バス利用者が安心して移動できる環境づくりに寄与するものと期待されています。

ガイドラインが対象とするのは、乗車定員11人以上の高速バスです。フルフラット座席の導入は、特に長時間の移動が多い路線において顧客満足度の向上につながると見られています。しかし、新しい座席設計の市場投入には、ガイドラインに基づいた厳しい安全基準を満たす必要があるため、メーカーや運行事業者にとっては開発のハードルが高くなる可能性も指摘されています。

今回の発表により、フルフラット座席を搭載した高速バスの開発がさらに進むことが予想されます。この座席は、乗客にとって快適な移動体験を提供するだけでなく、安全性の向上にも寄与します。これにより、交通事故のリスクを最小限に抑えながら、より多くの人々がバス移動を選択するきっかけとなるでしょう。

なお、このガイドラインの詳細な内容は、国土交通省のウェブサイトで閲覧可能です。新たな取り組みの背景には、深夜移動の需要増加や交通安全への意識の高まりがあります。国土交通省は、これらの課題に応えるため、車両安全対策検討会での議論を重ねた結果、今回のガイドラインを策定しました。この動きは、日本国内の公共交通機関全体の安全基準を底上げする一助となると期待されています。

また、高速バスの運行事業者や車両メーカーにとっても、このガイドラインは重要な指針となります。新たな安全基準を満たすことで、利用者からの信頼を得るだけでなく、競争力の向上にもつながります。これからの交通社会において、安全性と快適性を両立する取り組みは、事業者にとって大きな優位性をもたらすでしょう。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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