2024年9月20日
労務・人事ニュース
ロマンス詐欺の被害急増、SNSが引き金に?対策強化の必要性
令和6年7月末におけるSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(警察庁)
2024年に発表された報告書によると、SNSを悪用した投資詐欺やロマンス詐欺の被害が急増しており、特に今年の前半にかけてその影響が顕著になっています。1月から7月にかけての期間で、認知された被害件数は5,967件で、前年同期比で4,360件の増加を示しています。この間の被害総額は約779.1億円で、こちらも前年同期比で603.1億円の増加となっています。これらの詐欺は、特に投資を装った詐欺とロマンスを装った詐欺の2つのカテゴリーに分けられ、それぞれにおいて大きな被害が出ています。
まず、SNS型投資詐欺の状況に注目すると、1月から7月までに認知された件数は4,099件、被害総額は約580.4億円にのぼります。この数字は前年同期と比較しても劇的に増加しており、件数で3,294件、金額で489.3億円の増加が見られます。このタイプの詐欺では、SNSを通じて相手に接触し、信頼関係を築いた上で投資話を持ちかけ、投資金やその出金手数料をだまし取る手法が用いられます。詐欺のターゲットは幅広く、10代から80代以上の高齢者まで被害に遭っていますが、特に50代から60代の男性が多く、彼らは全体の被害者の約52.9%を占めています。
さらに、被害者がどのようにして詐欺に遭ったかについても詳細なデータが提供されています。例えば、詐欺師が詐称した職業や身分については、最も多いのが投資家やその他の著名人で、全体の34.8%が投資家を装っています。また、詐欺の初期段階で被害者とどのように接触したかについては、インスタグラムやLINEが主要なツールとして使用されており、これらのSNSプラットフォームを通じて多くの詐欺が行われていることが明らかになっています。
次に、SNS型ロマンス詐欺についての状況を見ていきます。この詐欺も1月から7月の間に1,868件が認知され、被害総額は約198.8億円に達しています。こちらも前年同期比で件数が1,066件、金額で113.9億円の増加となっており、投資詐欺と同様に急増しています。ロマンス詐欺では、SNSを通じて恋愛感情や親近感を抱かせ、その後、金銭を要求する手口が主流です。被害者の多くは男性で、全体の61.9%を占めており、特に40代から50代の男性が多い傾向にあります。
ロマンス詐欺の場合も、どのような職業や身分を詐称していたかのデータが提供されています。被害者と接触する際に詐称された職業で最も多いのは会社員や投資家で、それぞれ10.7%と10.5%を占めています。また、詐欺の手口としては、マッチングアプリやフェイスブック、インスタグラムなどのSNSが主要なツールとして利用されており、特にマッチングアプリを通じて被害に遭ったケースが35.9%と最も多く報告されています。
このようなSNS型詐欺が増加している背景には、インターネットやSNSの普及が挙げられます。特にコロナ禍により、対面でのコミュニケーションが制限されたことで、オンラインでの交流が活発化し、それに伴って詐欺のリスクも高まっています。SNSは、個人情報の公開範囲が広がりやすく、詐欺師にとっては格好のターゲットを見つけやすい環境となっているのです。
また、被害者がどのようにして金銭を騙し取られたかについても詳細な分析が行われています。投資詐欺では、振込による支払いが88.4%と最も多く、暗号資産による支払いが9.4%と続いています。一方、ロマンス詐欺では、振込が77.4%で、暗号資産が16.9%、電子マネーが4.8%となっており、こちらも振込による被害が主流です。これらの支払い手段は、匿名性が高く、追跡が難しいため、詐欺師にとって有利な手段となっています。
これらのデータは、今後の防犯対策にとって非常に重要です。SNS型詐欺は、日々進化し続けており、その手口も多様化しています。したがって、利用者自身がリスクを認識し、注意を払うことが求められます。特に、投資や恋愛に関する話がSNS上で持ち上がった場合には、慎重に対応する必要があります。詐欺に遭わないためには、信頼できる情報源を活用し、不審な点が少しでもあれば、すぐに相談することが推奨されます。
最後に、このような詐欺を防ぐためには、政府や警察だけでなく、SNSプラットフォーム運営企業やインターネットサービスプロバイダーなど、幅広い関係者が協力して対策を講じる必要があります。ユーザー教育の強化や、不審なアカウントの監視、早期警告システムの導入など、包括的なアプローチが求められます。これにより、被害者が増える前に、詐欺を未然に防ぐことが可能になるでしょう。
⇒ 詳しくは警察庁のWEBサイトへ