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2025年3月7日

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上下水道分野の技術革新に最大750万円支援!国が研究開発を後押しする補助金制度

令和7年度 上下水道科学研究費補助金の公募を開始 ~上下水道分野における技術革新を推進します~(国交省)

国土交通省は2025年2月21日、上下水道分野における技術革新を推進するため、「令和7年度上下水道科学研究費補助金」の公募を開始した。この補助金制度は、大学や民間企業を対象に、先駆的な技術研究を支援する競争的研究費制度であり、優れた科学研究を採択・助成することで、持続可能な上下水道システムの確立を目指すものである。

近年、日本の上下水道インフラは、高度経済成長期に整備された施設が老朽化し、維持管理や更新の必要性が増している。しかし、人口減少や財政制約が進む中で、従来型のインフラ整備では持続可能な管理が難しくなっており、新たな技術や効率的なシステムの導入が不可欠となっている。このような背景から、本研究費補助金を通じて、技術革新の推進が求められている。

今回の公募では、特に2つのテーマに重点を置いた研究提案が求められている。1つ目は「人口減少下における上下水道システムの最適化に関する研究」であり、人口減少や都市縮小に対応した効率的な水道・下水道の運営手法や、施設統合・再編に関する技術開発が期待されている。2つ目は「上下水道施設の破損に起因する大規模陥没の予兆検知等の技術に関する研究」であり、道路陥没や漏水事故を未然に防ぐための新技術の開発が求められている。これらの課題に対応するため、AIやIoTを活用した予測システム、ドローンやロボットによるインフラ点検技術、耐久性の高い新素材の開発など、多様な技術領域の提案が期待されている。

公募期間は2025年2月21日から2025年3月24日までとなっており、応募は府省共通研究開発管理システム(e-Rad)を通じて行うことができる。助成期間は最大3年間とされ、1課題あたり年間750万円を上限として助成が行われる。この補助金に採択されることで、研究機関や企業は、実証実験のための資金や設備投資に充てることができ、技術の社会実装を加速させることが可能となる。

この研究費補助制度の意義は、単に技術開発を支援するだけでなく、日本の上下水道インフラの持続可能性を高め、将来的な災害リスクを軽減することにある。特に、都市部では水道管の老朽化による漏水や道路陥没が増加しており、これらの課題に対応するためには、従来の維持管理手法を超えた新しいアプローチが求められている。また、地方では水道事業の統廃合や広域化が進められており、小規模自治体が単独で維持することが困難な状況が生じている。このような課題に対し、技術革新を通じて持続可能な運営モデルを構築することが求められている。

さらに、今回の公募は、官民連携を促進し、産学官が一体となって研究開発を進めることを目指している。特に、民間企業の技術力と大学の研究開発力を組み合わせることで、より実用的な技術の開発が可能となる。例えば、AIを活用した上下水道施設の劣化診断システム、スマートメーターを活用したリアルタイム監視技術、持続可能な水資源管理手法など、多くの分野で革新的なアイデアが期待される。

また、国際的にも水資源管理の重要性が増しており、日本の技術を海外市場に展開する機会も広がっている。特に、新興国では水道インフラの整備が急務とされており、日本の高度な水処理技術や漏水防止技術が求められている。こうした観点からも、今回の補助金制度は、国内外での技術展開を視野に入れた研究開発の促進につながる可能性がある。

本制度を通じて、自治体や企業、大学などが連携し、より効率的で持続可能な上下水道インフラを実現することが期待されている。今後、採択された研究課題の進展により、日本の上下水道技術がさらに高度化し、安全で快適な水インフラの確立に寄与することが期待される。国土交通省は、引き続き技術開発を支援し、全国の上下水道インフラの安定供給と防災対策を強化する方針を示している。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ