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2024年12月18日

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世界の周波数割当制度を徹底分析!米国・英国・フランス・ドイツの事例

情報通信経済研究会(令和6年度第3回) 資料1 諸外国の携帯電話用周波数の割当方式について ~諸外国における制度の動向~(総務省)

2024年11月29日に発表された資料は、諸外国における携帯電話用周波数の割当方式について詳細に分析しています。ここでは米国、英国、フランス、ドイツを例に、それぞれの政策と実施方法の違いを明らかにしています。これらの政策は、周波数資源の効率的な利用、地域格差の是正、新規事業者の参入促進などの共通した目的を持ちながら、各国の市場構造や社会的要請に合わせて設計されています。

まず、米国では、周波数オークション制度が1993年に導入されました。これにより、小規模事業者や新規参入者が競争に参加できる仕組みが整えられています。たとえば、2008年に行われた700MHz帯のオークションでは、事業者の規模に応じた割引が導入され、過去3年間の売上高が一定額以下の事業者に対して最大25%の割引が適用されました。また、2020年以降、3.5GHz帯ではダイナミック周波数共用システムが採用されており、既存システムと新規利用者の調和的な周波数利用が可能となっています。さらに、農村地域の通信環境を整備するため、インフラ投資法のもとで補助金制度が設けられており、2021年にはブロードバンド未整備地域に対する新たな補助金が導入されました。

次に英国の事例では、政府がモバイル市場の競争を維持することを重視しており、初期の3Gオークションでは新規事業者を特別に支援する枠組みが設定されました。2013年の800MHz帯のオークションでは、ルーラル地域の通信環境改善が大きな課題となり、一部の周波数ブロックが「カバレッジ義務ロット」として指定されました。この取り組みにより、2017年末までに人口の98%をカバーするという目標が達成されました。2019年には、共用農村ネットワーク(SRN)の構築に向けて、官民合同で約10億ポンドが投資され、モバイル通信のカバレッジが国土の95%に拡大される見込みです。さらに、周波数の集中を避けるために保有量の上限が設けられ、公平な市場競争が実現されています。

フランスでは、政府が無形国家資産として周波数を位置づけ、その適正な価値評価を重視しています。2001年に実施された3G免許の割当てから、事業者の支払い能力が重視され、固定額の支払いが必須条件となりました。また、2015年の700MHz帯のオークションでは、最低落札価格を25億ユーロと設定し、地域間格差の是正を目的とした取り組みが進められています。特に農村地域では、地方自治体と協力してホワイトエリアの解消を目指したインフラ整備が行われています。さらに、2020年には5Gの普及促進のために新しい周波数割当てが行われ、2030年までに主要道路網を100Mbps以上の速度でカバーする計画が発表されました。

ドイツでは、特に農村地域のデジタル化が政策の中心に据えられています。周波数割当てでは、既存の大規模事業者と中小規模事業者との間の公平性を維持するため、入札額に基づく厳密な審査が行われています。また、5Gの導入に際して、1GHz以下の帯域を活用し、通信速度の向上と普及を図る政策が採用されています。これにより、ドイツは農村地域における通信環境の改善と同時に、都市部での高度な通信サービスを両立させることを目指しています。

これらの事例は、周波数割当て制度の設計が各国の経済、社会、技術的な背景に応じて進化してきたことを示しています。日本においても、これらの成功例と課題を参考にしながら、独自の市場特性を踏まえた周波数割当ての方針を策定することが求められます。政策の透明性と市場の競争環境を整えることが、将来の通信インフラの発展にとって不可欠であるといえるでしょう。

⇒ 詳しくは総務省のWEBサイトへ

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