2024年11月23日
労務・人事ニュース
中国地域の景気動向:観光業は回復基調、小売業は節約志向が課題
景気ウォッチャー調査(令和6年10月調査)― 中国(現状)―(内閣府)
2024年10月の中国地域における景気動向調査の結果が発表されました。この調査は、中国地域の多様な業種や消費者の動向を詳しく分析したものです。調査結果からは、回復基調にある分野と依然として課題が残る分野が明らかとなり、地域経済全体の課題や可能性が浮き彫りになっています。
都市型ホテルでは、宿泊料金を5%から10%引き上げることが可能となるなど、高単価の販売が期待されています。また、観光型ホテルでも秋の行楽シーズンに合わせた宴会利用や周年記念企画の宿泊予約が堅調に推移しており、観光需要の回復が顕著です。さらに、修学旅行や団体旅行の増加もホテル業界にとって追い風となっています。
一方で、小売業や飲食業では、消費者の節約志向が根強く残っています。コンビニエンスストアでは、特売品やプライベートブランド商品が消費者に好まれる傾向が続いており、客単価の上昇は限定的です。同様に、百貨店や商店街では来客数が前年を下回る状況が続き、イベント開催時には一時的な来客数増加が見られるものの、売上に直結する動きにはつながっていないとの声が多く聞かれました。
自動車販売店でも、生活費の高騰により新車販売が低迷する一方で、中古車需要が増加しています。特に点検や部品交換の際には、費用を抑える動きが顕著です。住宅販売市場においても、物価高騰の影響で建築コストや販売価格が上昇しており、消費者が購入を控える傾向が見られました。
製造業では、一部の業界で海外需要が堅調に推移しているものの、為替や中国経済の減速が影響を及ぼしています。特に電子部品関連では低迷が続き、製品の出荷量に大きな変化が見られないとの指摘がありました。一方で、輸送業や広告代理業では受注数の増加が報告され、一定の回復基調が見られる業種も存在します。
雇用関連では、人材派遣会社が受注数の増加を報告する一方で、短期求人の依頼が減少しているという課題も浮かび上がっています。新卒採用においては、理系学生を中心に早期選考が進む傾向が強まり、インターンシップが採用活動の一環として重要な役割を果たしていることが分かりました。
全体として、中国地域の経済は回復の兆しを見せながらも、消費者の節約志向や物価高騰による影響を受け、完全な回復には至っていない状況です。特に小売業や飲食業においては、消費者の購買意欲が高まらないことが経済成長の妨げとなっていると考えられます。一方で、観光業や一部製造業では回復の兆しが明らかであり、これらの分野が地域経済を支える鍵となる可能性があります。
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