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2024年11月28日

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中央回廊を活用した日欧物流の未来とは?新ルート実証調査で見える可能性

「中央回廊に関する実証調査」の実証輸送参加事業者を選定しました ~国際物流の多元化・強靱化を目指して~(国交省)

国土交通省は、国際物流の多元化と強靭化を目指し、「中央回廊」に関する実証調査を行うため、5件の参加事業者を選定しました。この取り組みは、ロシアやスエズ運河を経由しない新しい物流ルートの実証輸送を通じて、安定的なグローバルサプライチェーンの確保を目指しています。中央回廊とは、中国から中央アジア、コーカサス地方、そして欧州に至る地域をトラック、鉄道、水運を組み合わせた複合輸送により結ぶ新たな物流ルートであり、地政学的なリスクを回避しつつ、輸送の選択肢を広げる可能性を秘めています。

このプロジェクトの公募は、令和6年8月1日から30日まで行われ、合計7件の応募がありました。その中から、日本からトルコ向けの輸送を担当する2件、イタリア向け1件、ドイツ向け1件、フランス向け1件の合計5件が選定されました。選定された事業者は、それぞれの輸送ルートで必要とされる具体的な条件を満たし、国際輸送の安全性、効率性、信頼性を向上させるための実証データを提供します。この取り組みは、単なる代替輸送手段の確立だけでなく、将来的な供給網の強化策としても注目されています。

選定された事業者の協力のもと、実証輸送は令和6年11月から令和7年2月にかけて実施されます。この期間中に、輸送コスト、リードタイム、輸送品質、各種手続きの効率性、そしてトレーサビリティの精度について詳しく検証が行われます。これにより、新たな物流ルートの実用性が評価され、日欧間の既存輸送ルートに代わる信頼性の高い選択肢が提供される可能性が高まります。

また、この実証調査の重要な成果として、輸送コストの削減や輸送時間の短縮が期待されています。従来の海上輸送ルートではリードタイムが長く、航空輸送はコストが高いという課題がありましたが、中央回廊を利用することで、これらの制約を克服できる可能性があります。特に、輸送品質の向上が重要視されており、製品の損傷や遅延を最小限に抑えるための取り組みが進められています。

このプロジェクトの成果は、令和7年以降、報告書や報告会などの形で広く公表される予定です。これにより、日本企業にとって中央回廊を活用した新たな物流戦略を検討するための実用的なデータが提供されるとともに、海外市場とのつながりを強化する契機となるでしょう。さらに、これを契機に国際物流のリスク管理が一層重要視される中で、多様化された輸送手段の確立は、日本の経済競争力を向上させる基盤となると期待されています。

国土交通省の令和5年度補正予算に基づくこのプロジェクトは、中央回廊を通じた日欧間の新たな物流オプションの実現可能性を探るだけでなく、地政学的リスクを考慮したBCP(事業継続計画)の強化にもつながります。この取り組みにより、日本企業が地理的・政治的リスクに柔軟に対応し、競争力を維持できる体制の構築が進むと考えられます。企業が直面する輸送の課題を解決するためには、輸送の多元化と効率化が不可欠であり、このプロジェクトはその実現に向けた重要な一歩です。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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