2024年9月17日
労務・人事ニュース
中山間地域の農地減少防止に成功、8.4万ヘクタールの維持に向けた次期対策とは
「中山間地域等直接支払制度(第5期対策)の最終評価(令和6年8月)」について(農水省)
中山間地域等直接支払制度の第5期対策について、その成果と今後の取り組みを詳しく説明します。この制度は、農用地の減少を防止し、その多面的機能を維持・発揮することを目的としており、農業の担い手不足や高齢化、人口減少が進む中山間地域において重要な役割を果たしています。第5期対策では、制度により約8.4万ヘクタールの農用地が減少するのを防ぎ、農地の多面的機能が適切に維持されました。この面積は、福岡県や埼玉県、愛知県、兵庫県の耕地面積を上回る規模であり、地域の農業生産基盤の維持に大きく寄与しています。
制度の実施においては、集落協定と個別協定という2つの形態で活動が行われました。集落協定は、集落マスタープランに基づく活動や、農業生産活動に関連する活動が実施されており、多くの協定で目標達成が見込まれています。特に、集落戦略の作成や加算措置の目標達成が重視されており、これらの活動を通じて集落協定の持続可能性が高められています。一方、個別協定では、利用権の設定や基幹的農作業の受託が行われており、こちらも最終年度において活動の適切な実施が確認されています。
しかしながら、協定参加者の高齢化や担い手不足により、活動の継続が困難となっている集落協定が増加しており、特に規模が小さい協定においては、協定の廃止意向が高まっています。こうした状況に対処するため、次期対策では、複数の協定間の連携や外部組織との連携を強化し、効率的な農地保全や集落機能の維持を図ることが求められます。また、小規模協定においては、人材不足や地理的条件の制約から、他の協定との連携が難しい場合があるため、多様な組織が協定活動に参画できる体制づくりが必要です。
さらに、営農の継続に向けた取り組みとして、農地や施設の管理、農作業の効率化、農産物の高付加価値化を支援する加算措置が引き続き提供される予定です。特に、スマート農業技術の導入や超急傾斜農地の保全管理、棚田地域の振興など、厳しい条件下での農業生産活動の継続を支援する取り組みが重要です。現在、各地域で地域計画の策定が進められており、これにより中山間地域での農業生産活動が将来にわたって持続的に行われることが期待されています。
また、事務負担の軽減も重要な課題です。多くの自治体が事務の簡素化を求めており、今後もこの課題に対処するための軽減策が講じられる必要があります。市町村においては、農業の担い手の確保や農地の集積・集約化への支援が重視されていますが、今後10年を見据えた場合、多様な農業人材の育成や、スマート農業の実用化に向けた支援も必要とされています。
総じて、第5期対策では、農用地の減少防止や多面的機能の維持に大きな成果が見られましたが、協定参加者の高齢化や担い手不足という課題も浮き彫りになっています。これらの課題に対処するため、次期対策では、協定間の連携や外部組織の参画を促進し、農業生産活動の持続可能性を高める取り組みが求められます。さらに、事務負担の軽減や、多様な農業人材の確保に向けた施策の充実が期待されます。
⇒ 詳しくは農林水産省のWEBサイトへ