2025年1月24日
労務・人事ニュース
九州の経済動向 インバウンド需要と高単価商品の売上がカギを握る最新分析(令和6年12月)
景気ウォッチャー調査(令和6年12月調査)― 九州(現状)―(内閣府)
九州地域における経済動向は、令和6年12月時点で業界や業種ごとに異なる変化が見られています。小売業では高単価商品が引き続き好調な売れ行きを示しており、特に生花業界では夏の猛暑による供給減少が価格上昇を招きました。例えば、かつては2000~3000円が一般的だった需要価格帯が現在では5000円から1万円に拡大するなど、消費者間の格差が顕著になっています。一方で商店街では、再開発や物価高騰の影響を受けており、売上増加の兆候は見られるものの、買い控えの傾向も続いています。
百貨店業界では、国内客数が前年比で増加したものの、客単価の上昇が売上全体の改善には繋がらず、特に食品や化粧品などの日用品で苦戦しています。ただし、宝飾品や美術品といった高価格帯の商品では引き続き好調な動きが見られる点が明るい兆しといえるでしょう。これに対して、スーパーでは値上げ分が客単価の上昇に反映され、11月からの来客数の増加も相まって前年を上回る動きが見られました。
一方、観光や宿泊業界では、国内客とインバウンドの需要が一部回復しているものの、全体としては厳しい状況が続いています。ホテル業界では宴会場利用率が増加傾向にあるものの、宿泊客数が伸び悩み、収益確保が課題となっています。また、旅行代理店では交通機関や宿泊施設の単価上昇により売上が増加しているものの、取扱件数は減少しています。
人材採用の動向も地域経済に大きな影響を与えています。九州では中小企業が採用活動を継続する一方で、求人倍率の低下や長期的な人材確保の課題が浮き彫りになっています。2026年卒業予定の学生の採用活動が既に進行していることから、人手不足の解消には至らず、採用活動の長期化が企業にとって負担となっています。
農林水産業では、夏の高温が収穫量の減少を招き、九州の市場価格が都市部市場を上回る逆転現象が発生しました。このような状況下でも技術力の高い農業従事者は収益を上げていますが、技術を持たない従事者は不作の影響で苦しんでいます。また、輸送業では円安の影響を直接受けていないものの、予想以上の消費増加により人手不足が深刻化しています。
こうした多様な課題が見られる中、企業が持続可能な成長を実現するためには、経済状況の把握と柔軟な対応が求められます。人材確保における早期採用活動や、業界ごとの需要に応じた戦略を立てることが鍵となるでしょう。地域経済の活性化を目指すには、各業界がそれぞれの課題を共有し、協力して解決策を模索することが重要です。
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