2024年10月1日
労務・人事ニュース
交通違反25,156件!特定小型原動機付自転車に対する規制強化の行方とは?
特定小型原動機付自転車に関する規定の施行後1年間の状況について(警察庁)
特定小型原動機付自転車に関する規定が施行されてから1年が経過し、この間の状況に関する報告がまとめられています。令和5年7月から令和6年6月にかけて、特定小型原動機付自転車に関わる交通事故や違反、利用者に対する交通安全教育の取り組みが注目されています。まず、この1年間に発生した交通事故の件数は219件であり、死者はゼロでしたが、負傷者は226人にのぼりました。都道府県別に見ると、東京都での事故が全体の7割を超えており、特にレンタル車両による事故が9割以上を占めています。また、運転者の年齢別では20歳代が最も多く、全体の5割以上を占めました。
交通違反の検挙状況についても報告されています。1年間で検挙された件数は25,156件に達しており、その内訳としては、通行区分違反が13,842件(全体の55%)、信号無視が7,725件(31%)といった主要な違反が目立ちました。これらの数字から、特定小型原動機付自転車に対する交通ルール遵守の徹底がまだ十分でないことが明らかになっています。
次に、特定小型原動機付自転車の利用者に対する交通安全教育について触れます。この1年間で導入された運転者講習制度では、受講者数が255人にとどまっており、より多くの利用者に対して講習を受けさせる必要性が感じられます。これに加え、関係事業者は交通安全対策を進めており、例えば販売事業者は購入者に対する年齢確認を行うとともに、交通ルールの動画を視聴させる新しい販売フローを確立しています。シェアリング事業者はアプリを通じた交通ルールテストの実施を行い、さらにプラットフォーム提供事業者は性能確認を受けた車両のみをウェブサイト上で販売する取り組みを進めています。また、ヘルメットの着用についてもシェアリング事業者を中心に普及が進められており、ヘルメットの貸し出しや無償配布が行われています。
利用者へのアンケート調査によると、交通ルールに関する正答率は概ね90%を超えており、特に交通ルールテストが重要な学習機会となっていることが分かりました。交通ルールを学ぶ機会として、7割以上の利用者が交通ルールテストを挙げており、その効果が現れていると考えられます。しかし、ヘルメットの普及状況には課題が残っています。ヘルメットを所持していると回答した者は全体の約25%にとどまり、そのうち運転中に常に、または概ね着用していると回答した者は約2割に過ぎません。このことから、ヘルメット着用の重要性が十分に認識されていない可能性が示唆されています。
今後の取り組みとして、交通安全対策の一層の強化が求められています。特にヘルメットの着用促進に向けた取り組みや、関係事業者による交通安全教育の充実が重要とされています。また、飲酒運転やその他の悪質・危険な交通違反に対する取り締まりがさらに重点的に行われる予定です。これらの対策を通じて、特定小型原動機付自転車の安全な利用が促進され、事故の抑止が期待されています。
この報告書から分かるように、特定小型原動機付自転車に関わる事故や違反はまだ多く、特に東京都でのレンタル車両利用者の事故が顕著です。これに対して、交通ルール教育やヘルメット着用の促進といった安全対策が強化される必要があります。企業としては、こうした規制や教育プログラムに対して積極的に取り組むことが求められ、社会的責任を果たすだけでなく、自社の信頼性向上にも繋がるでしょう。
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