2025年2月7日
労務・人事ニュース
人手不足が企業の最大課題に!62.1%の企業が人材確保を最優先課題
信用保証利用企業動向調査(2024年10-12月期実績、2025年1-3月期見通し)(日本公庫)
日本政策金融公庫が発表した第223回信用保証利用企業動向調査によると、2024年10月から12月期における信用保証を利用する企業の資金繰りは横ばいを維持している。景気全体としては、一部に弱い動きが見られるものの、持ち直しの兆しが続いている。今回の調査は全国9地域にわたる信用保証協会利用企業16,000社を対象として実施され、そのうち4,346社からの回答が得られた。回答企業の85%が従業員20人以下の小規模企業であり、中小企業の実態を反映した結果となっている。
資金繰り状況を示すD.I.は▲10.9と、前期の▲10.5とほぼ同水準を維持している。一方で、企業の借入難易感D.I.は▲4.3と、前期の▲6.3からマイナス幅がやや縮小したことが明らかとなった。これにより、資金調達の環境が若干ではあるが改善されたといえる。しかしながら、今期に借入を実施した企業の割合はわずかに減少しており、保証を利用した企業の割合は増加していることから、信用保証を活用する企業の必要性が高まっていることが示唆される。
2025年1月から3月期の見通しでは、保証利用要請D.I.が0.6とやや上昇する見込みである。このことから、金融機関が保証利用を企業に対してより積極的に要請する可能性が高まっていると考えられる。一方、借入難易感D.I.は▲7.4とやや悪化する見通しが立てられており、資金調達の厳しさが増す可能性もある。企業にとっては、資金繰りの戦略を再考し、将来の資金需要に備える必要があるといえる。
生産と売上の動向については、生産・売上D.I.が▲1.8と、前期の▲2.7からやや改善し、横ばいの傾向を維持している。業種別の動向を詳しく見ると、製造業、建設業、卸売業ではマイナス幅が縮小したが、小売業ではマイナス幅が拡大し、サービス業ではプラス幅が縮小したことが判明した。特に小売業において売上の停滞が顕著になっており、消費者需要の動向が今後の企業収益に大きな影響を及ぼす可能性がある。
採算D.I.については▲9.0と、前期の▲10.8よりマイナス幅が縮小した。今後の見通しとしては、2025年1月から3月期には0.0となり、収益状況が安定する可能性が示唆されている。企業の経営においては、売上の横ばい傾向が続く中で、特に小売業などのセクターでは収益の確保がより重要な課題となるだろう。保証利用の割合を見ると、借入総残高に占める保証利用の割合は64.4%となっており、半数以上の企業が信用保証を活用していることが明らかになった。信用保証が中小企業の資金繰りに果たす役割は依然として大きい。
2024年10月から12月期における企業の経営環境に関する調査では、「人手不足、人件費上昇」が62.1%と最も多い課題として挙げられた。次いで「エネルギー・原材料価格等の高騰」が47.1%、「売上・受注の停滞、減少」が40.7%と続いた。業種別に見ると、前期と比較して「人手不足、人件費上昇」の割合が上昇し、「売上・受注の停滞、減少」の割合が低下していることがわかった。この結果からは、労働市場の逼迫とコスト増加が企業の最大の課題であることがうかがえる。
2025年の第1四半期に向けて、企業の資金繰りや借入環境には大きな変動は予測されていないが、保証利用の増加傾向は続く可能性が高い。特に金融機関の保証要請が増加することが予測されるため、企業は資金調達戦略をより慎重に立てる必要がある。また、売上の横ばい傾向が続く中で、特に小売業などのセクターでは収益の確保が重要な課題となると考えられる。
人件費の上昇や原材料価格の高騰が企業経営に与える影響は引き続き大きく、特に中小企業にとってはコスト増加が経営を圧迫する要因となり得る。そのため、効率的な経営管理やコスト削減策の導入が求められるだろう。今後の企業成長のためには、採用戦略の見直しが不可欠となる。
企業の採用担当者にとっては、人手不足の深刻化により採用活動の強化が欠かせなくなっている。特に小規模企業では労働力の確保が喫緊の課題となっており、従業員の定着率向上や魅力的な労働環境の整備が求められる。さらに、賃金の上昇が続く中で、給与水準の見直しや労働条件の改善が必要となる場面も増えるだろう。これに伴い、採用コストの上昇が企業の収益を圧迫する可能性もあるため、採用戦略を見直し、適切な人材獲得に向けた施策を講じることが、今後の企業成長にとって重要な課題となる。
今後、企業の採用活動や資金繰り戦略をどのように展開するかが、成長の要となる。経済環境の変化に柔軟に対応し、適切な対策を講じることが、企業の持続的な成長につながる。今後の経営環境を見据え、企業は慎重かつ積極的な経営判断を行うことが求められている。
⇒ 詳しくは日本政策金融公庫のWEBサイトへ