2025年2月1日
労務・人事ニュース
人手不足が引き起こす賃金上昇の実態とは?欠員率と生産性が経済に与える影響
人手不足で給料は上がるの?(令和6年版 労働経済の分析 分割版動画5/5)(厚労省)
日本では近年、労働力不足が深刻な課題となっています。この背景から、「人手不足が給料の上昇につながるのか」という問いに対し、政府の白書が行った詳細な分析が注目を集めています。この分析では、人手不足を示す指標である「欠員率」と賃金の関係について検証されています。
調査結果によると、欠員率が1%ポイント上昇した場合、日本、ドイツ、イギリスでは賃金の上昇率が1.5%から1.99%ポイント高まるという関係が確認されました。一方で、アメリカの結果は異なり、他国と比較してその影響が若干異なる傾向が見られました。このデータから、欠員率の上昇が賃金上昇に寄与することが明らかになっています。
また、生産性の上昇と賃金の関係についても分析が行われました。生産性が1%ポイント上昇した場合、日本、ドイツ、イギリスでは賃金の上昇率が0.3%から0.5%ポイント高まることが分かりました。この結果から、労働生産性を向上させることが、賃金上昇を促進する重要な要素であることが示されています。特に日本では、生産性向上の取り組みが賃金の引き上げと密接に関連しているため、長期的な視点での取り組みが求められています。
さらに、企業規模別の分析では、賃金が上がると就業希望者が増加し、結果として欠員率が低下する可能性が指摘されています。これは、賃金が競争力のある水準に達すれば、人手不足の緩和につながる可能性を示唆しています。特に中小企業では賃金水準の向上が大きな課題となっていますが、これが人材確保の鍵を握ると考えられます。
今回の白書の分析は、人手不足の解消と賃金上昇がどのように関連しているかを示し、労働市場の現状を深く理解する手がかりを提供しています。労働生産性の向上や適切な賃金設定を通じて、持続可能な経済成長を目指すための政策的な指針を考える上で、非常に重要なデータといえるでしょう。
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