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2024年7月3日

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人生100年時代を見据えた高齢者雇用の現状とこれから

第11回雇用政策研究会資料【資料1】高齢者雇用対策の概要(厚労省)

日本では高齢化が進行しており、2070年には総人口が9,000万人を下回り、高齢化率が38%を超えると予測されています。これに伴い、高齢者の雇用対策が重要となってきました。2006年4月1日に改正高齢法が施行され、60~64歳層の就業率が上昇しました。また、65~69歳層の就業率も上昇傾向にあります。

高齢者が収入のある仕事をする主な理由は「収入がほしいから」が多く、特に男性の60~64歳層でその割合が高いです。男女ともに年齢が高くなるにつれて、就業理由は多様化する傾向があります。一方で、高齢者が就業を希望しない理由としては「体力的に働くのがきついから」や「健康上の理由」が挙げられています。

日本政府は高齢者雇用対策として、企業に対して65歳までの雇用確保を義務付け、70歳までの就業確保の努力義務を課しています。これにより、高齢者が年齢に関係なく働き続けることができる環境を整備しています。具体的には、65歳までの定年引き上げや定年制の廃止、65歳までの継続雇用制度の導入が義務化されました。また、70歳までの継続雇用制度の導入や社会貢献活動に従事できる制度の導入も努力義務として追加されています。

企業における高齢者雇用確保のための具体的な措置としては、65歳以上の高齢者に対する再就職支援や、ハローワークに設置された「生涯現役支援窓口」での職業相談・職業紹介が行われています。地域における高齢者雇用対策としては、地方自治体が中心となって多様な就業機会を創出する「生涯現役地域づくり環境整備事業」が実施されています。さらに、シルバー人材センターでは、臨時的・短期的または軽易な就業を希望する高年齢者に就業機会を提供しています。

令和3年4月1日に施行された改正高年齢者雇用安定法により、従来の65歳までの雇用確保の義務に加えて、70歳までの就業機会を確保する努力義務が追加されました。これにより、高齢者がより長く働ける環境が整備され、企業における安定した雇用・就業の確保、中高年齢者の再就職支援、地域における多様な雇用・就業機会の確保が図られています。

このような取り組みの結果、企業における65歳までの雇用確保措置の実施率はほぼ100%に達しています。2023年には、65歳までの雇用確保措置の実施企業数が236,815社、70歳までの就業確保措置の実施企業数が70,443社となりました。定年制の廃止や定年引き上げ、継続雇用制度の導入など、企業規模に関わらず多くの企業が高齢者の雇用確保に積極的に取り組んでいます。

日本では、人生100年時代を迎え、高齢者が年齢にかかわらず働き続けることができる社会の構築が必要とされています。これにより、企業における高齢者の雇用確保が進み、地域における多様な就業機会の創出が期待されています。企業や地方自治体、地域の関係者が協働して、高齢者が安心して働き続けられる環境を整備することが重要です。

高齢者雇用対策の強化により、就業意欲のある高齢者が年齢に関係なく働き続けられる社会が実現されることが期待されます。このため、企業や地域社会が一体となって高齢者の雇用確保に取り組むことが求められています。

参考:【資料1】高齢者雇用対策の概要

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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